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鳥に近い新種の恐竜、「飛翔」の起源に一石を投じる

7/20(土) 17:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

鳥の祖先はいつ飛んだ? 米国で見つかった1.5億年前の恐竜が古生物学者をざわつかせる

 このほど新種として発表された小さな恐竜が、鳥が空を飛ぶようになった起源に一石を投じている。

ギャラリー:恐竜どのように鳥になったのか? 写真5点

 7月10日付けで学術誌「PeerJ」に発表された論文によると、この新種恐竜は「ヘスペロルニトイデス・ミエススレリ(Hesperornithoides miessleri)」。体長1メートルほどの羽毛恐竜。ヴェロキラプトルの仲間や鳥類を含む、原鳥類(Paraves)に属するという。

 この化石は、米国ワイオミング州とコロラド州を中心とする米国西部に広がるモリソン層という約1億5000万年前の地層から発掘された。ここはブラキオサウルス、ディプロドクス、ステゴサウルスなどの巨大恐竜の化石の産地として知られるが、そのなかで今回の恐竜は最も小さい。

「モリソン層では、大きな化石が出るのが普通です。ヘスペロルニトイデスと命名された今回の恐竜は、骨格全体でもディプロドクスの椎骨1個ほどしかありません」と英マンチェスター大学の古生物学者で、論文の共著者であるディーン・ローマックス氏は話す。この化石は「モリソン層の恐竜がこれまで知られていた以上に多様で、小さな恐竜も生息していたことを示しています」と彼は付け加えた。

 今回の論文は、古生物学者たちをざわつかせている。というのも、論文の著者らはヘスペロルニトイデスについて、現生鳥類が、樹上から滑空する恐竜の直接の子孫でなく、地上で暮らす恐竜から進化したことを示す手がかりであると論じているからだ。

羽毛をまとった小さな殺し屋

 今回の化石が見つかったのは2001年、ワイオミング州で最大の竜脚類「スーパーサウルス」の化石を発掘している最中のことだった。全長約35メートルのスーパーサウルスの骨を掘り出そうとしていたシャベルが、偶然ヘスペロルニトイデスの化石の鼻の部分を貫いたのだ。

 当初、この化石は骨の小ささから翼竜(恐竜と同じ時代に生きていた空飛ぶ爬虫類)だと思われた。ところが、慎重に標本を作成すると、考えていた以上の発見だとわかった。

 標本は現在、ワイオミング恐竜センターに収蔵されていて、古生物学者の間では、2001年の発掘にボランティアとして参加したローリ・ホッケメイヤー氏にちなんで「ローリ」と呼ばれている。

 標本の作成と最初の分析のあと、ローリは何年もの間、放置されたままだった。しかし、恐竜センターで標本作成研究室を運営しているビル・ワール氏が2008年にローマックス氏に標本を見せる。ローマックス氏はこの標本に魅せられた。

 ローマックス氏はローリを忘れることができず、2015年にクラウドファンディングで資金を調達し、翌2016年、ウィスコンシン大学マディソン校に標本を持ってきて、1週間で集中的に研究を行った。

 研究チームはその結果、ヘスペロルニトイデスはジュラ紀後期に生きていたトロオドン科の一種であるとした。約7500万年前の白亜紀に生息していたヴェロキラプトルなどドロマエオサウルス科を含む、原鳥類の初期の仲間だ。

 映画『ジュラシック・パーク』で悪名をとどろかせたヴェロキラプトルと同じように、ヘスペロルニトイデスの両足には、獲物のはらわたをえぐり取るのに便利そうな、大きな鎌形のかぎ爪があった。鳥に似た特徴も多かったが、地上で生活していたのは明らかで、鳥類が地上を走る恐竜から進化したとする仮説を裏付けているように思われた。

 専門家は、ヘスペロルニトイデスの全身が羽毛に覆われていて、前肢の長い羽毛は事実上の小さな翼になっていたと考えている。しかし、全身と前肢の比率は、ヘスペロルニトイデスが飛べなかったことを示唆している。彼らはおそらく湿地や湖畔にすみ、小型の哺乳類やトカゲや恐竜を襲って食べていたのだろう。

「いかにも『ラプトル』らしい恐竜でした。行動は鳥によく似ていて、ニワトリほどの大きさで、長い尾をもっていました」とローマックス氏。

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