ここから本文です

フローラン・ダバディが見たローレウス・ワールド・スポーツ・アワード2019【前編】

7/20(土) 20:41配信

GQ JAPAN

2019年2月17日から2日間、モナコで「ローレウス・ワールド・スポーツ・アワード」がおこなわれた。2018年からローレウスのメディアパートナーとなった『GQ JAPAN』の、リポーターを務めたフローラン・ダバディが斬り込む。前編をお届けする。

【この記事の写真を見る!】

2000年にリシュモンとダイムラー、ということはスイスとドイツの会社によって設立されたローレウスは、子どもや若者が抱える社会的な障害や課題を、スポーツを通じて克服することを目的に活動する団体である。

世界40カ国以上で160を超えるスポーツベースのコミュニティ・プログラムを支援する一方、「ローレウス・ワールド・スポーツ・アワード」なる賞を年に一度、スポーツの各分野で活躍した個人と団体に贈っている。

「スポーツは世界を変える力を持っている」。第1回の授賞式のときにネルソン・マンデラが語ったこのことばがローレウスの活動理念になっている。

今年2月、モナコで開かれた、「スポーツ界のアカデミー賞」と呼ばれるこの賞の授賞式を、『GQ JAPAN』はスポーツ・ジャーナリストのフローラン・ダバディ氏とともに取材した。ここでは、ダバディ氏にその印象を語ってもらった。

成功の先にあるもの

第19回「ローレウス・ワールド・スポーツ・アワード」の会場で、アーセン・ベンゲルさん、アレッサンドロ・デル・ピエロ、そしてノバク・ジョコビッチに話を聞くことができました。彼らに共通しているのは、ジョコビッチはもちろん現役ですけど、ベンゲルさんはイギリスのプレミア・リーグの名門アーセナルの監督を1年ちょっと前に、デル・ピエロはサッカー選手として現役を引退して随分たちますけれど、みんなモチベーションがあって生き生きしていることです。

俗な言い方をすれば、お金はもうたくさん稼いだ。でも、だからなに? それだけでは幸せにはなれない。これで止まったら、うつ病になる一方……、そんなふうに3人とも思っているんだと思います。だから、いろんなところにアンテナを張って、自分の業界ではない人と好奇心旺盛に触れあおう、という意欲があってローレウスの会場に来ているのでしょう。そして、そういう人だから成長してきたのだと僕は思うのです。

デル・ピエロはファッションが好きだし、ベンゲルさんはサッカーの監督というよりも、人づくりの経営者だと自身で思っている。なので、ほかの業界の経営者たちと話すのが大好きで、ジョコビッチはたぶん、奥さんのエレナさんから、「もっともっと変わって、いろんなことをやった方がいい。あなたはメッセンジャーなんだから」とプッシュされている。品格と教養のあるワイフなので、彼女に巡り合ったのもジョコビッチの奇跡というか。だからカップルとしてここまで上ってこられたんだと僕は思います。

マラソンのエリウド・キプチョゲも印象的です。レッドカーペットでひとこと、ふたこと話しただけだけれども、2時間1分39秒のマラソン世界記録保持者は、35歳で迎える東京五輪でゴールドを狙うと言っていました。あの人は、寡黙だけれど、すごいオーラを醸し出していました。

僕の推測ですけれど、彼はこれから開花するアフリカ大陸で政治的リーダーになる決意をしているのではないか。ベンゲルさんの弟子だったジョージ・ウェア、1995年にバロンドールとFIFA選出の世界年間最優秀選手賞を受賞したサッカーのヒーローが現在リベリアの大統領になっています。それこそローレウスの理念の“スポーツは世界を変える力を持っている”。授賞式に来ていた人たちはみんな、スポーツでスターになるだけで満足することはなく、さらにその先の“野望”を持っていると思います。

ジョコビッチみたいにモナコに住んでいたら、いろんな人が次々にドアをノックしてきます。あなたのお金で、こんなこともできます、あんなこともできます、と。ローレウスというイギリスを拠点とする組織もある意味ではそのひとつで、スポーツ選手たちに、「あなたたちはもっともっと大きな存在ですよ」と、ドアをノックしているんです。だから、私たちと協力して世界を変えよう、と。

私たちは現場に行ってローレウスのイベントが立派に運営されているところを見ました。そしてこの活動は今後、すごく伸びるだろう、と確信しました。パーティに来ている人たちは、スポーツ選手やスポーツ選手のエージェントたちもいれば、品格のあるビジネスマンも政治家もいたりして、そのクロスカルチャー的なブレンドがすごくよかった。授賞式のどのテーブルでもそのシナジーがあって、テーブルに座る人たちがお互いすごく刺激される。そういう社交の場をローレウスは提供しているんだ、と思いました。

1/2ページ

最終更新:7/20(土) 20:41
GQ JAPAN

記事提供社からのご案内(外部サイト)

GQ JAPAN

コンデナスト・ジャパン

2019年9月号
2019年7月25日発売

800円(税込)

"はるたん"が帰ってきた! 奇跡の男、田中圭/特集:親とは、子とは、そしてファミリーとは? 自由な「家族」/菅田将暉、”LOVE”を語る

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事