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【前編】嫌なことも頑張れる子は伸びる 神野大地と敏腕教育者が思う「努力」の本当の意味

7/20(土) 11:03配信

THE ANSWER

神野大地×LCA国際小学園長・山口紀生対談前編、陸上と教育の「目標設定の大切さ」

 5月のある日、神奈川・相模原市内の閑静な住宅街にある小学校に「山の神」がいた。東京五輪を目指す陸上長距離の神野大地(セルソース)だ。訪れたのは、LCA国際小学校。9月にマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)を控え、多忙を極めるトップ選手が練習の合間を縫ってやって来たのは、なぜなのか。

 同校は日本でも稀な、株式会社が運営する私立小学校。バイリンガルスクールで、外国人の担任が授業の大半を英語で行う。しかし、単なるインターナショナルスクール的な学校というわけではない。同校がこだわっているものが“本物”に触れることだ。その一環として、一流アスリートを定期的に招いた体育の授業を実施している。神野はアテネ五輪1600メートルリレー4位の伊藤友広氏が受け持つ授業のゲストとして呼ばれ、児童たちに走る楽しさを説いたのだ。

 LCA国際学園の創始者でもある学園長は山口紀生氏。78年に大学卒業後、公立小学校で教師としてキャリアをスタートさせたが、85年に私塾「LCA」を設立。英語教育に携わり、91年に株式会社エル・シー・エーを設立。08年に「LCA国際小学校」として文科省から認可を受け、日本初の株式会社立小学校校長に就任した。1クラス20人の少人数制のきめ細やかな指導で、毎年多くの名門中学に卒業生が羽ばたいているが、今回、神野をゲスト講師に招き、対談も実施した。

 同校の教育事業全体を網羅するマネージャーでサッカーの名門海外クラブのジュニアコーチも務めていた今井 洋介氏が進行役を務め、スポーツと教育という分野から“人を育てる”というテーマについて互いの立場から考えを交わした。前編の今回は「目標設定の大切さ」について。

 ◇ ◇ ◇

――LCA国際小は「人を育てる」ということを常に考えている学校です。その中で“本物との出会い”を掲げ、アートだったり、音楽だったり、様々なものを教育に取り入れています。スポーツについても大きな可能性を感じ、今回は神野選手をお招きしています。学校現場にはスポーツが好きな子、苦手な子、様々な子がいるのがポイントになると思います。

神野「好きなことは、人間誰しも頑張れるもの。では、どこで差がつくかと言ったら苦手なこと、嫌なことも頑張ること。それができる子は成長できるし、いろんな経験ができる。陸上もいろんな練習があり、好きな練習だけを頑張っている選手は強くなれない。スピード練習は好きだけど、長いジョグは嫌いという選手が長いジョグを頑張れると成長し、競技結果が上がる。苦手なことを頑張れるか頑張れないか、そこに大きな差が出ると思います」

山口「幅広さですね。そこは教育においても全く同じ考えです。子どもは好きな科目、苦手な科目があります。苦手な科目は、できるようになったり、100点を取ったりしなくていい。ただ、やってみなさいと。NOと拒否して、好きなことだけをやっていると脳の一部しか使われない。でも、苦手なことを含め、いろんなことをやることで刺激され、いろんなパワーが出る。だから“嫌いなことはやらない”じゃなく“やってみなさい”と教えている。

 だから、神野選手がそういう考えを持っていることは大変うれしい。何事も失敗じゃなく経験という考えも共感します。以前、学校で『2階から卵を落として割れないようにする工夫をする』という授業をやっていて、そこに『成功例』と『失敗例』と書かれていた。私は『失敗例は使わないで。“未成功”なんだから、まだ成功してないという表現に変えて』。失敗はないと思う。経験したことは、全部生きると思うんです」

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最終更新:8/3(土) 1:51
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