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久保建英、45分間で示した可能性。まさに「黄金の左足」、天才がレアルにもたらした効果とは

7/21(日) 13:36配信

フットボールチャンネル

 インターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)、レアル・マドリー対バイエルン・ミュンヘンが現地時間20日に行われた。この一戦で最も注目を浴びていた久保建英は後半開始からピッチに立ちマドリーデビューを果たした。試合には敗れたが18歳のレフティーは45分間で輝きを放ち、攻撃を活性化。チームにもたらした効果とは。(文:小澤祐作)

【動画】久保建英、鮮やかドリブルでゴール演出!相手DFを翻弄する超絶テクを披露

●ついにマドリーデビュー

 ユベントス、バイエルン・ミュンヘン、アトレティコ・マドリーら数多くのビッグクラブが参加しているインターナショナル・チャンピオンズカップ(ICC)。同大会は公式戦扱いではなく、あくまで親善試合となっているが、新加入選手や下部組織から昇格してきた若手選手にとっては絶好のアピールの場となる。指揮官からしてもより多くの選手を試すことができるため、決して価値は低くない大会だ。

 今大会はヨーロッパから12のクラブが参加している。上記したチームの他、アーセナル、ミランなども参戦しており、マンチェスター・ユナイテッドやインテルはシンガポールで試合を行う。そして、その参加クラブの中にはレアル・マドリーもいる。我々日本人が、今最も注目しているクラブと言えるだろう。理由はもちろん、MF久保建英が所属しているからだ。

 18歳の久保は、コパ・アメリカ2019(南米選手権)終了後にチームへ合流。練習から堂々としたプレーを見せ、早くもジネディーヌ・ジダン監督から賞賛されるなど、世界屈指のビッグクラブでもその天才ぶりを証明している。現地では「考えられていたよりトップチームに近い」と報じられるなど、評価はすでに高いと言えるだろう。

 そんなマドリーは現地時間20日、ICC初戦でバイエルンと対戦。出場が期待されていた久保だが、スタメンにその名はなく、ベンチから戦況を見つめることになった。

 エデン・アザール、ルカ・モドリッチら来季の主力になると思われる選手が揃って出場した前半。先制したのは、バイエルンであった。15分、パス交換から抜け出したダビド・アラバからの折り返しを受けたコランタン・トリッソがシュート。一度は弾かれたが、これを再びフランス代表MFが押し込んだ。前半はこのまま0-1で終了している。

 後半に向け、ジダン監督はメンバー11人を全員変更。フランクフルトから加入したFWルカ・ヨビッチ、期待の若手・ロドリゴらが続々とピッチに入って行く中、そこには背番号26の姿があった。久保である。

●18歳がもたらした効果

 18歳のレフティーは、左インサイドハーフの位置で出場。すると開始わずか20秒であった。フェルラン・メンディからのパスを呼び込んだ久保は、まず後方から寄せにきたヨシュア・キミッヒをしっかり確認してボールをコントロール。ややタッチは乱れたが、その後慌てることなく、前方から寄せにきたバンジャマン・パバールもかわし、左サイドを突破。クロスはGKスベン・ウルライヒにキャッチされたが、試合の入りとしては申し分なかった。

 その後はチーム全体が押し込まれた影響もあって、なかなか久保にパスが回ってこない。中盤で何度か動き直しをしてボールを引き出そうとはしていたが、バイエルン側も中央をしっかりと締めていたため、パスコースは限定されていた。

 それでも、61分には久保のらしさが表れた。バイエルンからボールを奪い、DFナチョ・フェルナンデスがボールを持ったシーン。この時久保は、左右に首を振って、自分と相手の距離感、そしてスペースの確認を済ませていた。この時点で、パスが来た時の準備ができていたのである。そしてナチョからヨビッチへ縦パスが入ると、その瞬間、久保はセルビア代表FWの横へ飛び出す。直前にそのスペースが空いていることを理解しているので、躊躇なく前へ走ることができたのだ。そこでヨビッチからパスを受けた久保は、そのままドリブルで前進。前を走っていたヴィニシウス・ジュニオールへパスを出して好機を演出したのである。

 マドリーはとくに後半、押し込まれる展開が続き、相手のプレスも鋭かったためなかなか前へボールを運ぶことができなかったが、久保だけは常にゴールを意識していた。ボールを受ければ必ず縦。そこを徹底していたため、チーム全体のラインも久保にパスが収まれば自然と上がっていく。その後のスペースカバーや背後の意識はマドリー守備陣の課題となったが、18歳がチームにもたらした効果は決して小さくはなかった。

 その後も久保は、抜群のポジショニングからパスを引き出してチャンスを演出。71分にも最終ラインからボールを受けV・ジュニオールへスルーパスを出した。間違いなく、マドリーの攻撃の起点となっていたのである。

●「マドリーの傑作の匂い」

 最後の最後まで久保はゴールへ向かった。91分にはロドリゴからのパスを呼び込んで右足でボールをコントロール。またもパスが入る直前に首を振って相手の位置を確認していたため、寄せに来たレオン・ゴレツカの動きを的確に見極めてプレスを回避し縦へドリブルを開始。たまらずドイツ代表MFはタックルに行くが、これがファウルとなりゴレツカにはイエローカードが提示されている。45分間、久保は自身のやるべきことを貫き通したと言えるだろう。

 チームは後半にロベルト・レバンドフスキ、セルジュ・ニャブリにゴールを許し、ロドリゴのFKで1点を返すものの1-3で敗北。久保にとってはほろ苦いデビュー戦となったが、個人に目を向ければ初戦の出来は決して悪くなかった。同選手にとっても、そしてジダン監督にとっても収穫があったゲームとなったのではないか。

 バイエルン戦における久保には早くも称賛の声が相次いでいる。スペインの『マルカ紙』は「後半にチームは崩れたが、久保は他の選手にはなかった勇気あるプレー、とくに黄金の左足を披露した」とし、続けて「マドリーの傑作の匂いがする」と大絶賛していた。

 ジダン監督の目に久保がどう映ったかは定かではないが、恐らく好印象は抱いたはずだろう。やはり後半のメンバーの中ではひと際存在感を放っており、45分間という限られた時間で特大の可能性を見せたからだ。

 とはいえ、まだ1試合を終えたばかり。マドリーは24日にアーセナル戦、27日にはアトレティコとの一戦が控えている。だが、久保が継続して輝きのあるパフォーマンスを示すことができれば、トップチーム定着も不可能ではないはず。今後、ジダン監督が久保をどう起用していくのかは興味深いが、アザールやモドリッチ、トニ・クロースといった世界的名手との共演にも期待したいところだ。

(文:小澤祐作)

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最終更新:7/21(日) 13:36
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