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ヤギの知能、仲間の気持ちを声で聞き分けられる、最新研究

7/21(日) 9:10配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

「餌が出てきてうれしい声」や「仲間外れにされた不満の声」など

 動物たちが周囲の世界をどう感じ取っているかは、いまだに謎が多い。高度な社会性をもつヤギも同様だ。

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 ヤギはYoutubeでも人気者で、かわいらしくて笑える動画がいくつも投稿され、再生回数は数百万回に上る。表現力豊かで社交的な彼らを、擬人化したくなる気持ちはわかるが、実際どうなのかはほとんど解明されていなかった。

 学術誌「Frontiers in Zoology」に7月10日付けで掲載された新たな研究によると、ヤギはほかのヤギが喜んでいるか不機嫌かを、声を聞いて判別できるという。つまり、ヤギは仲間の気持ちがわかるということだ。今回の発見は将来、飼育されているヤギの扱いに影響してくる可能性もある。

「最も基本的なレベルで、ヤギは周囲の環境を認識している」ことが示されたと、論文の筆頭著者であるルイージ・バシャドンナ氏は話す。「人間以外で仲間の感情を感じ取れる動物という点で、ヤギはウマ、霊長類、ヒツジなどと共通しているのです」。同氏は英ロンドン大学クイーン・メアリー校で博士課程修了後の研究助手を務める。

 今回の実験を行った研究者たちは、ヤギが声を通じて感情を表現できることを以前に発表していた。今回はより大きな研究チームで、ヤギがほかの個体の感情を判別できるかを探ることにした。「感情が他者に与える効果を実際に調べなければ、社会性の大きな側面を見落としてしまいます」と、バシャドンナ氏。

 実験では、英ケント州の保護施設で飼われている24匹のヤギを対象とした。この施設は、世話を放棄されたり、虐待されたりしたヤギを保護している。

鳴き声の聞き分けテスト

 研究チームは、ヤギが喜んでいるときの鳴き声(餌が運ばれてきたとき)、軽い不満を表しているとき(群れから5分間引き離されたときと、自分は食べられない状態で、ほかのヤギが餌を食べているのを見ているとき)の鳴き声を録音した。

 次にその声を、心拍数モニタを装着した別のヤギに聞かせた。その結果、声の性質が変化したときにヤギが強く注意を向けることがわかり、違いに気付けることをうかがわせた。また、喜んでいる声を聞くと、心拍と心拍の間隔の変動(心拍変動)が大きくなるという相関がみられた。哺乳類にとって心拍変動が大きいのは、満足した状態にあるサインだ。

 実験に使った「不満な声」は、ヤギにさほど強いストレスをかけない状況で録音されたため、本当につらいときの叫び声とは程遠いとバシャドンナ氏。そのため人の耳には、喜んでいるときの声とほとんど同じに聞こえる。だが、ヤギたちはうれしいときの声よりも、不安や不満を表す声の方により長く注意を向けた。

 これは理にかなっているとバシャドンナ氏は話す。「潜在的な危険があるときは、パーティーで仲間たちと食事をしているときよりも、強く警戒する必要があります」

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