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「恐竜化石」発掘に命をかける男のすごい生活

7/21(日) 15:00配信

東洋経済オンライン

日本一の恐竜化石といわれる「むかわ竜」を発掘、化石発見の実績から「ハヤブサの目」の異名を持つ男。恐竜化石のためなら、過酷な気象も巨大灰色熊もなんのその。ただ、化石発掘は目的と同時に手段でもある。『恐竜まみれ』を書いた北海道大学の小林快次教授に発掘生活について聞いた。

■熊なんかより人間のほうが危ない

 ──ゴビ砂漠の巨大濁流に始まり、副題に偽りなしですね。

 あれは私にとってモンゴルでの初発掘だったので、慌てました。今はかなり慣れて、最悪の事態を想定して動きます。アラスカで豪雨、落雷のときは窪地(くぼち)に降りて、温かくして雨がっぱかぶって昼寝します。落ちないように願いながら(笑)。アラスカの落雷は2時間もすれば通り過ぎるので。

 ──2時間も!  軽妙に書いていますが灰色熊はヤバかったのでは。

 んー、そうですね、大きいのが2頭いたし、小屋のドアの1つが壊れていたから、確かにかなり危険でした。歳とともにでかくなって無敵になるので、高齢熊ほど怖い。後で撮った写真を見たら歯が抜けていた(笑)。ただ、連れていった学生が鮭の頭などを捨てた所が悪く、熊を呼び寄せてしまった。捨て場所を確認しなかった私もよくない。危ないときというのは何かポカをしているんです。

 ──動物には慎重な行動が必要。

 動きに予測がつきませんからね。あのときは回れ右してくれたけど。その意味でいちばん怖い動物は人間です。国立公園など調査地によっては、ガイドのような人に熊よけの散弾銃を持たせますが、熊慣れしていない人だと、熊に遭遇するとパニックになり、銃を左右に振り回したり。危ないったらない。

 また、僻地に飛んでくれるヘリコプターの操縦士は軍人上がりが多くて、大体イカレてる。「ベトナム戦争ではヘリがいっぱい落ちたけど、理由、わかるか」とか言いながら「こうやったら落ちたんだ」って急旋回してみせる。

 ──(笑)。現場には年にどれほど。

 3~4カ月ですね。北米からアジアへの恐竜の移動をテーマにしているので、アメリカ、カナダ、モンゴルが主体です。

 ──期間は資金面の制約ですか。

 日本で工面できる資金は多くはないですが、海外では共同研究者が調達した公的資金や寄付金がありますから。南米でも、渡航費以外は面倒を見るから掘りに来ないかという話はある。南米、南極、豪州が地続きだったので、南米から豪州への恐竜移動というストーリーが描ける。でも、南半球の夏って日本の冬でしょ。年に6カ月いなかったら大学をクビになります。

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最終更新:7/21(日) 15:00
東洋経済オンライン

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