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懸念される日韓経済問題の広がり

7/22(月) 8:55配信

NRI研究員の時事解説

日本の輸出規制はさらに第2弾へ

韓国銀行(中央銀行)は7月18日、政策金利を年1.75%から1.50%へ引き下げる決定をした。政策金利の引き下げは3年振りとなる。金融市場では8月の金融通貨委員会での金利引下げが広く予想されていたため、予想よりも早いタイミングでの実施は、驚きを持って受け止められている。金融通貨委員会後の記者会見で李柱烈総裁は、「日本の輸出規制が韓国の輸出や経済に与える影響は、小さいとはいえない」と発言した。世界経済の低迷を受け、韓国経済は以前より減速傾向にあったが、日本による輸出規制が韓国経済の下振れリスクを高め、韓国銀行の政策金利引き下げの時期を早めた可能性がある。

韓国は輸出のGDP比が約4割と輸出依存度が高い経済だ。さらに半導体が輸出の2割超を占めているが、日本の輸出規制はこの半導体生産に必要な素材を対象にしたものであり、韓国経済の先行きのリスクを顕著に高めている。他方で、韓国製の半導体は多くのスマートフォンやテレビなどに使われるが、韓国での半導体生産が滞れば、そうした完成品の生産にも支障が生じ、そこに部材を供給する日本企業にも悪影響が広がってくる。日本の輸出規制の悪影響は、韓国経済ばかりでなく日本経済にもブーメラン効果として返ってくるのである。

日本は韓国への輸出規制を7月1日に発表した。その背景には元徴用工問題があると考えられている。輸出規制は、半導体と折り曲げ可能なディスプレイに不可欠な材料3品目の出荷を、事実上遅らせる措置である。

7月23、24日にジュネーブで開かれる世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、日本の韓国向け輸出規制の強化措置について、日韓両政府は双方の意見を述べる。WTO協定違反とする韓国に対して、日本は安全保障上の見直しであってWTO協定違反ではないと主張し、議論は平行線に終わる公算が大きい。

さらにその後、日本は8月末に規制強化の第2弾を発動する見通しである。その際には、日本は韓国を「ホワイト国」の指定から外す。そうなれば、軍事転用の恐れが低い食品・木材以外のほぼすべての品目で、個別の審査・許可が必要になり、韓国向け輸出が一層滞る可能性が出てくる。こうした段階的な規制強化の手法は、トランプ政権の対中政策とも重なって見える。

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最終更新:7/22(月) 8:55
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