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【書評】2つの東京五輪の間で: ジェラルド・カーティス著『ジャパン・ストーリー 昭和・平成の日本政治見聞録』

7/22(月) 12:08配信

nippon.com

半世紀以上にわたり日本の政治状況を間近に観察してきた「知日派」学者が、若き日の東京での生活や大物政治家とのエピソードを交えながら生き生きとつづった日本政治・社会史。

日本研究 「第三世代」の知日派として、日本の選挙や政変の際には必ずと言っていいほど、内外のメディアにコメントを求められてきたジェラルド・カーティス米コロンビア大学名誉教授。東京五輪が開催された1964年、24歳のコロンビア大学大学院生として初来日以来、昭和・平成の政治の変遷を間近に観察・研究してきた。2度目の東京五輪開催の2020年、80歳を迎える。

日本研究の「第一世代」は、エドウィン・ライシャワーに代表されるように、宣教師の家庭に生まれるなどして戦前日本に住んだことがある「ジャパノロジスト」たち。エドワード・サイデンステッカーやドナルド・キーンなど、戦中、軍の日本語学校を契機に日本研究に進んだのが「第二世代」。戦後に登場したのが、敗戦を経てアジアで唯一民主主義国家として経済躍進を遂げつつある国への好奇心から日本を研究対象とした“第三世代”だ。

『ジャパン・ストーリー』は2008年に日本語で書きおろした『政治と秋刀魚』のアップデート版という位置付けだ。『政治と秋刀魚』の英訳出版を打診されたことから、何年も前に日本の読者だけを想定して執筆した本をそのまま英訳することに躊躇(ちゅうちょ)して、前作の一部を残しつつ、過去、そして現在の政治状況に踏み込んで論じる本を新たに書こうと決意したそうだ。今回は英語で執筆、ベテラン翻訳者(訳:村井章子)がとても読みやすい訳文に仕上げている(現時点では日本語のみの刊行)。

前作を刊行した時点の日本は、第1次安倍政権が退陣した後を受けて発足した福田政権だった。その後、民主党政権、東日本大震災を経て安倍晋三が首相に返り咲く。「政界からお払い箱になった」と大方の人が考えていた安倍が、今度は「安倍一強」と言われる長期政権を実現するとは、08年当時には予想もしなかった展開だろう。

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最終更新:7/22(月) 12:08
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