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新生チェルシーの新戦術とは? フロンターレに敗戦も…見えた前任者との変化と心配事

7/22(月) 12:37配信

フットボールチャンネル

明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2019、チェルシー対川崎フロンターレの一戦が19日に行われ、イングランドの強豪は0-1で敗戦を喫した。シーズン開幕前という段階のため、勝ち負けそのものは重要ではないかもしれない。ただ試合内容も、新生チェルシーの姿が垣間見えたという意味で、非常に大きなインパクトがあった。では具体的にどのような内容だったのだろうか。(取材・文:内藤秀明)

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●より攻撃的な内容に

 もともとチェルシーといえば、この10~20年間は守備的なサッカーをすることのほうが多かった。その典型例はモウリーニョ政権だろうか。ポルトガル人の名将は、相手の悪い部分を浮き彫りにするためにも受け身のサッカーにすることがおおい。

 あるいは直近で言うと2016年から2年間監督を務めた、アントニオ・コンテ監督の下でも同様だ。3-4-3を基本システムとしたイタリア人監督のサッカーは、原則的にカウンター志向が強く、どちらかといえば守備的だった。

 そういう意味では昨年、マウリツィオ・サッリが監督に就任した時には、大きな変化になると思われた。実際、サッリはチェルシーに攻撃的なパスサッカーを持ち込んでいる。

 そしてこのイタリア人の老将が解任された時には、この「チェルシーが攻撃的なチームに生まれ変わる」という流れは、終わったかと思われた。しかし実際には違った。クラブのレジェンド、フランク・ランパードはより攻撃的なサッカーをチームに持ち込んでいる。

●ランパードは攻撃的な戦術を選択

 「エネルギッシュなサッカーを目指す」と語る若きイングランド人の監督は、その発言通りのサッカーを日産スタジアムでは披露した。

 4-2-3-1のフォーメーションを披露したブルーズは、前線からハイプレスを敢行し、ポゼッション型の川崎フロンターレにボールを持つことを許さなかった。そのプレスで重要な役回りを担ったのがトップ下のメイソン・マウントだろうか。

 得点力のある中盤の選手ということもあり、どこか現監督の現役時代を彷彿させる20歳の若手選手は、慣れない高湿度・高気温の環境下でも、人一倍前線走り回った。特にボールを奪われた後の切り替えは誰よりも早く、ノータイムで相手にプレスをかけていた。

 ボールを奪い返した後も、すぐさま頭を切り替え、すぐさまボックス内に飛び込んでいく姿は、新世代の「ボックス・トゥ・ボックス」型プレイヤーであることを我々に見せつけた。

 攻撃的な要素でいうと、サイドバックの攻撃参加も、以前よりも増えた印象だ。両サイドバックのアスピリクエタとマルコス・アロンソは非常に高い位置をとり、何度も攻撃に参加。最終的にはゴールは奪えなかったものの、存在感を見せつけた。


●新戦術には課題も

 一方で心配事もある。ボールを支配しながらもゴールを奪えなかったことだ。無得点について、監督自身は「プレシーズンということもあり、準備不足なのでしょうがない部分もある」と語る。

 確かにその通りなのだが、現段階では気になるのは、崩しの局面に対してあまりチームの決まりごとが見えなかった点だ。正確にいうと高い位置でボールを奪い、人数をかけてゴールを奪うという大枠は伝わってきたものの、細かいボックス侵入の型は見えてこなかった。

 そもそも今季のチェルシーは得点力不足が課題になる可能性が高い。

 理由の一つは、エースのエデン・アザールが退団したことだ。代わりにクリスティアン・プリシッチがローンバックで加入したが、プレミア1年目にエース同様の活躍を期待するのは酷だ。

 理由の二つ目は、シーズン20得点を期待できるワールドクラスのストライカーがいないことだろう。オリビエ・ジルーは素晴らしいポストプレイヤーだが点取り屋というタイプではない。ミチ・バチュアイがスコアラーだが、年間20得点もとれる突出した選手ではない。あるいはタミー・アブラハムは期待の若手だがプレミアだとゴールを量産した実績がない。

 そういう意味では、個の力に依存できないこともあり、チームとしてどうゴールを奪うのかの約束事を作っていく必要がある。

 しかし筆者がアロンソに対して、サッリ時代からの戦術的な変化を尋ねたところ「より自由に攻撃を楽しめるようになった」と語っている。おそらく攻撃の部分のルールは前任者より減っている。

 もちろんランパードが語る通り、まだ準備段階だ。まだ良し悪しを評価する段階ではないが、早めにチームとしての得点の型をつくらなければ、シーズンに入ってから苦労することになる。そういう意味では日本での練習を通じて、攻撃パターンを増やしていきたいところだ。その片鱗をバルセロナ戦で見られることに期待したい。

(取材・文:内藤秀明)

【了】

最終更新:7/22(月) 12:41
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