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日本人の「金融リテラシー」は本当に低いのか、預金大国の意外な真実

7/22(月) 10:01配信

現代ビジネス

「投資から貯蓄」という現実

 巷を騒がせた年金2000万円問題を経て、改めて日本における資産形成への考え方、より大上段に構えれば「金融教育の必要性」を説く議論を目にするようになっている。

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 「金融リテラシーに乏しい日本人」という指摘がなされて久しいが、その際、頻繁に引き合いに出されてきたのが株式投資への消極性だろう。

 確かに現状で1800兆円超におよぶ個人金融資産が存在する割には、株式には10%程度しか配分されていない。この状況に物足りなさを覚えるのは確かだ。

 また同時に「株式投資が過少である」という事実と合わせて頻繁に指摘されるのが、「現預金が過大である」という事実である。

 後述するように、過去5年間で日本株が大きく値を上げたにもかかわらず、依然として現預金が全体に占めるシェアが半分以上である。

 日銀資金循環統計(上図)を元に具体的な数字を確認してみると、2019年3月末時点で本邦家計部門の個人金融資産は1835兆円ある。

 金融危機が発生する直前の2007年6月末時点(1643兆円)と比較すると、約+192兆円増えたことになる。だが、この内訳を見ると、増加分のほとんどは現預金(外貨預金を除く)であり、790兆円から970兆円へ約+181兆円増えている。

 この間、株式・出資金は203兆円から183兆円へ約▲20兆円減っている。金融資産全体に占める割合で言えば、金融危機を経て現預金(外貨預金を除く)は48.1%から52.9%へ上昇したのに対し、株式・出資金は12.4%から10.0%へ低下している。

 この2時点間だけを比較すれば、「貯蓄から投資へ」どころか「投資から貯蓄へ」と資産形成が進んだことが分かる。

バブル崩壊の深手と株式回避

 なお、2007年6月末から足許までの動きを見た場合、日経平均株価は最大で約+40%上昇した一方、政策金利は負の領域にまで落ち込んだ(10年金利を例に取れば1.9%程度から▲0.20%程度まで低下した)ことを思えば、このような家計金融資産の動きは直感的には腑に落ちないという印象はある。本邦家計部門に特異な現預金志向が見て取れる。

 さらに言えば、上記の2時点比較に限らず、貯蓄と投資の大小関係は長年変わっていない。

 株式に国債などを含む債務証券そして投資信託などを加えた合計を投資性資産とし、現預金(除く外貨預金)とのシェアを比較してみたものが以下図である。

 両者の差は円安バブルと呼ばれた2005~07年頃に顕著に縮まったものの、危機を経て再び拡大、その後横ばいが続いている。

 俗に「日本人は金融リテラシーを欠いている」という議論はこうした投資性資産への消極性と現預金志向の強さを総称した表現と言える。

 これほど巨大な金融資産が現預金に傾斜しており、分散投資がほとんど為されていない状況はリスク管理の観点からは適切ではないという指摘は十分あり得る。「金融リテラシーの欠如」は本邦の家計金融資産の現状を表現する1つの論点だろう。

 だが一方、過去20年余りを振り返れば、まず為替市場の歴史は疑いようもなく「円高の歴史」だった。そして、「円高の歴史」はそのまま「デフレの歴史」と一致してきたことも周知の通りだ。

 「デフレの通貨は増価する」は教科書が教える事実そのままである。

 上図に示されるように、アベノミクスが始まった2012年12月(円安・株高は同年11月半ばから始まっていたが、第二次安倍政権が発足したのは12月)以降、日本株ははっきりと騰勢を強めたものの、それ以前は主要株価指数の中でも出遅れ感が目立っていた。

 ちなみに、バブル崩壊直後である1990年初頭を起点として同様の図を作った場合、日本株はその他の株価指数と比較して「横ばい」という印象に収まる。それではあまりにも恣意性を孕むので過去20年という括りで見ているのだが、約30年前の株価水準を主要国の中では唯一、回復できていないという事実は残る。

 アベノミクスの作り出した円安・株高に彩られたリフレ相場においても株式保有が進まなかったことに違和感は覚えるが、それ以前に負ったバブル崩壊の深手が陰に陽に個人の資産形成に影響を与えていることも無視できない。

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最終更新:7/22(月) 10:01
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