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“世界最軽量”をあえて捨てたノートPC「LAVIE Pro Mobile」がビジネスマンに受けるワケ

7/22(月) 6:30配信

PHILE WEB

筆者はここ数年間はメインPCとしてMacBookを使っている。macOSが使い慣れているからという理由もあるのだが、ノートPCとしてデザインと機能性のバランスがとても良いと感じているからだ。

ところが今年、買い替えを検討し始めていた筆者の頭を、WindowsのノートPCの熱い新製品が悩ませている。特に気になるマシンはNECが発売した「LAVIE Pro Mobile」だ。

PCメーカー各社による “世界最軽量化競争” からあえて一歩距離を置いて、ビジネスマンをはじめとするプロフェッショナルが本当に必要とする機能のブラッシュアップを徹底してきたというLAVIEシリーズの新顔を、個人的な興味も兼ねて深掘りしてみたい。

今回はLAVIE Pro Mobileの商品企画を担当したNECパーソナルコンピュータの永井健司氏を訪ねて商品の詳細についてお話を聞くこともできた。

■むやみに世界最軽量を追わずに、ビジネスPCとしてバランスの良さを重視した

NECは2012年に、質量が1kgを切った世界最軽量のノートPCとして初代「LAVIE Z」を発表した。その衝撃が以降、ノートPCを手がけるメーカー各社による世界最軽量記録の更新を目指す技術競争に火をつけた。

新製品のLAVIE Pro Mobileではあえて世界最軽量を謳うことはしなかった。その理由を永井氏は次のように説明している。

「当社が独自に市場のニーズを調査してみると、ノートPCの質量は900g以下なら満足と答える声が8割を超えていました。それならば質量はその範囲内に抑えながら、ビジネスマンなど仕事にノートPCを活用するプロフェッショナルに向け、モビリティ(可搬性)/デザイン/剛性感/生産性という4つの大事な要素をバランスよくレベルアップした商品にフォーカスしたいと考えて、LAVIE Pro Mobileのコンセプトを固めてきました」(永井氏)

LAVIE Pro Mobileの質量は2019年5月の発売時点で世界最軽量ではないものの、それでも十分に軽い約837gを実現している。一方で内蔵バッテリーによる駆動時間は、従来機「HZ750/LA」シリーズの約2倍となる20時間前後にまで伸びた。先に触れたNECの調査では「内蔵バッテリーのスタミナは約20時間前後は持って欲しい」という声もやはり約8割に及んだことから、軽量設計と内蔵バッテリーによる長時間駆動の両立が優先項目とされた。

■キーボードがとにかく打ちやすい

筆者がLAVIE Pro Mobileを気に入った大きな理由の一つは、実用性だけでなく、所有欲をそそる美しいデザインを実現していることだ。通常はキーボードの周囲をバスタブ形状に凹ませて段差を設けて、ディスプレイとの干渉を防ぐことが多いのだが、LAVIE Pro Mobileは凹凸のないフラットデザインとして、見た目にもすっきりとした印象に仕上げている。
優先するのは「できること」より「理想」
さらにキーボードの打鍵感も心地よい。ピッチサイズが15インチのノートPCに搭載されているキーボードに匹敵しているというから納得だ。キーボードそのもののサイズも大きいので、長時間の文字入力が疲れにくい。耐摩耗性を高めるプレミアムUVコーティングをかけているので、キーボードの打面はテカらずに心地よい質感を残したままの状態が長く保たれるという。

永井氏はキーボードの打鍵感を調整するために、専任のエンジニアが通常モデルに比べておよそ3倍の時間を費やして開発に当たってきたと話す。「適度な打鍵感が感じられるように、キーを押した時のピークとボトムのフォースの落差を徹底的にチューニングしています。この落差が深すぎたり、反対に底打ち感が強過ぎると疲れを感じやすくなります」

■ 理想のプロダクトデザインを実現することにも妥協しなかった

LAVIE Pro Mobileはプロダクトデザインを決定するまでのプロセスが通常の場合から大胆に変更されている。通常は技術的に「できること」を優先しながら、なるべく理想に近いデザインを浮き彫りにしていくものだが、永井氏は本機の場合は「理想的なプロダクトデザイン」にプライオリティを置いた上で、バッテリーライフや質量など機能・性能とのバランスを詰めてきたと振り返っている。

「通常は先に平面スケッチを起こしてから、エンジニアとディスカッションを繰り返しつつ、技術的に無理のある形状をつぶしてリアルなモックアップ(模型)に整えます。LAVIE Pro Mobileの場合は、先にプロダクトとしての理想的な形を描いた立体モックアップを作りました。通常のプロダクトデザインはエンジニア側からの発言に強く影響を受けがちです。今回はモックアップ設計の段階ではあえてエンジニアとのすり合わせを行わずに、目指すべき姿をリアルに追求したことが違いになります」(永井氏)

LAVIE Pro Mobileでは「ノイズレスデザイン」というコンセプトの下、機能的なデザインも徹底的に追求した。液晶のヒンジ部分の背面に排気口を隠すように配置している。液晶パネルを開閉しやすくするために上蓋の側面に凹みも付けた。電源キーにはWindows Hello対応の指紋センサーを載せている。指でキーに触れると素速くログインが完了する操作感も快適だ。

本体は側面から見ると先端に向かって底面が持ち上がっているように見えるスリムなくさび形デザインとしている。高い軽量性を持ちながら、加工も難しい材料であるマグネシウムリチウム合金を用いながら、この形状に仕立てることは特に困難を極めたそうだ。デザインとパフォーマンスを両立させながら質量900gを切ることの方が、シンプルに世界最軽量を追求するよりも開発陣にとって大変なことだったと永井氏が彼らの労をねぎらうように説いていた。

LAVIE Pro Mobileの天板には東レの新構成カーボンを採用している。一般的にカーボンと呼ばれている素材はプリプレグと呼ばれるものが多いが、強度を高めるために単純に厚みを増やしてしまうと軽量設計が犠牲になる。LAVIEでは超軽量のコア材をカーボン層によりサンドイッチする構造としたことで剛性と軽量性を両立させている。さらにカーボン素材は電波を通しにくい性質があるため、天板の周囲はプラスチックで成形するハイブリッドマテリアル構成として電波感度も確保している。

■ヤマハと共同開発した新機能「ミーティングモード」とは

LAVIE Pro Mobileはオーディオ性能にもこだわるノートPCだ。本体の底面には従来モデルから面積を約3倍にして、出力を1Wから2Wに高めたボックス型のステレオスピーカーを2基配置している。永井氏は「ノートPCのレベルを超えて、この筐体の中にできる限りスピーカーの容積を確保することに腐心した」とアピールしている。

さらにヤマハ製のオーディオエンジンを載せて、新機能の「ミーティングモード」を実現している。この機能はサウンドの中音域を持ち上げて、特にビデオ会議にノートPCを使う時などに声の帯域を聞こえやすくするためのものだ。電話会議の音声が聴きやすいようにチューニングを最大化した。
世界最軽量を捨てることで視認性の向上も
専用のユーザーインターフェースは「ラヴィ簡単設定」のメニュー内にある。筆者もその実力を体験してみたが、声の輪郭が明瞭になり、底力がぐんと高まる手応えがあった。画面のトップに配置したステレオマイクが話者の声をクリアに拾ってくれる。本機の場合は4人前後のミーティングを想定して使いやすく機能がチューニングされているのだという。

これまでにもNECとヤマハは様々なサウンド関係のソリューションで連携してきたが、ビジネス用途を主眼とした “音もの” 機能を実現した機会はこれが初めてになるという。永井氏らNECの側からヤマハに対してビジネスツールとして役に立つサウンド機能をリクエストして、ヤマハがこれをカスタマイズして実現した格好だ。永井氏の説明によると、内蔵スピーカーのサイズに制約を受けることなく実装できる機能なので、今後スタンダードモデルを含むNECの様々なノートPCに応用できる可能性がありそうだ。

■明るいディスプレイ、オプション選択可能なLTE対応など盛りだくさん

LAVIE Pro Mobileでは従来のLAVIE Hybrid ZEROよりも画面の輝度を約1.5倍ほど明るくして、ディスプレイの視認性も高めている。永井氏は、ディスプレイについても「世界最軽量」に対するこだわりを捨てたことで、バックライトにも軽さだけでなく「明るさ」とバランスの取れたモジュールが選択できたのだと話している。

筆者がLAVIE Pro Mobileに惹かれている理由はほかにもある。例えば、NECのLAVIEダイレクトショップからはLTE対応をオプションとして選択できる。最近はフリーWi-Fiを提供するショップや公共施設も多くあるが、公衆Wi-FiサービスやポケットWi-Fiを使わなくても、ノートPCにSIMカードを装着しておけば、場所を選ぶことなく仕事にインターネットが活用できてとても便利だ。ビジネスマンにとっての生産性も飛躍的に高めてくれるだろう。

一方では内蔵SDカードスロットがフルサイズのSDカードではなくmicroSDカードに照準を合わせて搭載されている点に納得できなかった。なぜならデジタル一眼レフカメラなど、プロフェッショナルが仕事に使うデジタルカメラを想定した場合、多くのカメラがストレージとしてフルサイズのSDカードを採用しているからだ。

永井氏は「microSDカードスロットはPCに内蔵するストレージの “セカンドストレージ” としての機能性を意識して載せたもの」なのだと説いている。そしてデジタルカメラなど外部機器からデータを取り込む場合は別途メディアリーダーなどを使ってほしいと述べている。また、MacBookのようにSDカードスロットの搭載自体をやめる動きもあることから、NECではスロットを省くことも議論に上がったという。その結果、セカンドストレージを求めるユーザーのニーズまだ強くあるという理由からmicroSDカードスロットを採用したそうだ。

筆者は普段からノートPCをデジタルカメラと一緒に持ち歩きながら使うことが多いため、SDカードをダイレクトに挿入できるスロットを搭載するPCが欲しいと思う。ただ、一方でポータブルオーディオの世界では外部ストレージメディアにmicroSDカードが広く普及しているので、PCでハイレゾ音源をダウンロードして、microSDカードに直接コピーしてハイレゾDAPなどとファイルのやり取りができれば、これが便利なこともまたよくわかる。使い慣れてくればほかにも多くのメリットが見えてくるのかもしれない。

国内ではビジネスパーソンの「働き方改革」が推進される中で、LAVIEシリーズの新しいノートPCはクオリティ重視のワークスタイルをあらゆる場所で実現する心強いパートナーになってくれるだろう。

(山本 敦)

山本 敦

最終更新:7/22(月) 6:30
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