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入社後の「こんなはずじゃなかった」を招く就活・採用の問題点

7/22(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

● 就活・採用が「うまくいった」としても… 入社後に陥る落とし穴「リアリティ・ショック」とは

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 インターネット時代の就職活動は、完全な情報戦です。口コミサイト・就活ナビの乱立、メディアの報道などにより、さまざまな情報が飛び交っています。 学生や企業はそれらの情報に取り囲まれ、就活・採用で良い結果を出そうとするあまり、「就活をうまくやること」「うまく採用すること」が目的になってしまいがちです。

 そして、それらすべての努力を無にする最大の落とし穴があります。それが、就活、採用の「あと」に訪れる、「こんなはずじゃなかった」という入社後のイメージ・ギャップです。

 経営・組織論では、組織参入後の現実と事前イメージとのギャップは、「リアリティ・ショック(Reality Shock)」と呼ばれ、研究が蓄積されてきました。リアリティ・ショックは、就活と採用の認識を根底から覆すものであり、日本中のありとあらゆる新卒採用で起きています。しかし、目の前の結果に追われる採用担当者や就活生の多くが、就活・採用後のイメージ・ギャップの現実を直視できていません。リアリティ・ショックとは、誰しも気が付いているのに手を打たない、「不都合な真実」なのです。

 今回は、このリアリティ・ショックの実態と、それを防ぐ3つのポイントについて客観的データ(※)を元に紹介します。(※パーソル総合研究所・CAMP共同調査「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」)

 【図1】に示すように、報酬・昇進・仕事のやりがい・働きやすさなど、入社後に事前イメージとの何らかの違いを感じる新社会人は76.6%にも及びます。逆に言えば、入社後、スムーズにイメージ通り働いている社会人は4人に1人もいないということです。

 また、【図2】は「イメージよりも悪かった/低かった」項目の回答率を示したものですが、これを見ると、「給料・報酬」「昇進・昇格のスピード」と、報酬周りの項目が高くなっています。また、「達成感」や「裁量の程度」、「働きやすさ」もイメージとのギャップが大きくなっています。

 簡単に言い換えれば、「この程度しかもらえないのか」「この程度の仕事しかさせてもらえないのか」「こんなに忙しいのか」ということです。

 学生にとって売り手市場である現在、意欲ある学生の成長志向に応えるために、各社が「うちの会社では、若いときから活躍できる」ということをアピールします。若手社員をロールモデルに据え、活躍しているキラキラした社員と触れ合う機会を作り、リクルーターが個別に口説き落とします。

 しかし、肝心の「入社後」に大きくギャップを与えてしまっては、それらは逆効果としか言いようがありません。社会人であれば、こうした行為がアピールでしかないことにすぐ気が付きそうなものですが、社会人と接触する機会が少ない学生は、過度な期待を抱いてしまいます。

● 就活で「リアリティ・ショック」を いかに防ぐか

 リアリティ・ショックの核心は、イメージとの「ギャップ」に源泉があることです。単なる入社後の「実態の悪さ」ではなく、「事前の期待値との相互作用」によって発生します。つまり、入社後の実態がどんなに素晴らしくても、学生の期待値がそれ以上に大きかったとすれば、リアリティ・ショックは発生してしまいます。逆に言えば、「事前のイメージ・期待の正確さ」を担保することによって防ぐことができます。

 つまり、リアリティ・ショックを防ぐためのカギは、「入社前に、企業や組織・自分の適性をどこまで理解できるか」ということ。人間関係、組織の状況、求められる能力など、「入社前にその会社のことをいかに正確に知りえていたか」が分かれ道です。

 「内定を獲得すること」「希望の会社に入社すること」が就活の目的になってしまうと、この点がおざなりになり、面接テクニックやエントリー・シートの書き方など、表層的な就活テクニックに走りがちです。ゆがんだイメージで志望した企業に、多くの時間をかけて対策を練り、上がりきった期待値が、入社後にことごとく裏切られる…企業も学生も、こうした就活・採用を毎年繰り返してしまうのです。

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最終更新:7/22(月) 6:01
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