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京アニ放火事件で関心高まる「防火設備」、学ぶべき教訓は何か

7/22(月) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 34人が死亡、34人が重軽傷という大惨事になった京都アニメーション放火事件。3階建てのビルが丸ごと焼けるという事態に、驚いた人も多いはずだ。京アニの建物の状況がどうだったのかは今後の検証を待たねばならないが、この未曾有の大火災からオフィスビルやマンションが学ぶべき教訓を考えてみよう。(さくら事務所マンション管理コンサルタント 土屋輝之)

● ホテルニュージャパン火災を 超える死者が出てしまった

 3階建てのビルが全焼した京アニ。34人もの死者を出すというのは、未曾有の大火事といっていい。過去、とりわけ規模が大きい火災が起きると、それを契機に消防法を見直す、という流れになってきた。例えば死者118人を出した1972年の大阪・千日デパート火災。1982年の東京・ホテルニュージャパン火災(死者33人)、さらに2001年の新宿・歌舞伎町ビル火災(同44人)などだ。

 死者100人を超える千日デパート火災は別格としても、今回の京アニは、ホテルニュージャパン火災を超える死者が出てしまった。

 もちろん、犯人がガソリンを撒いて火をつけるという暴挙に出たわけだから、通常の火災とは訳が違う。おそらく爆風が事務所内を駆け巡り、通常の火災以上に、中にいた人たちはパニックに陥ったはずだ。

 しかし、この特殊要因を考慮に入れても、鉄筋コンクリートの建物で各フロアがあれほどの勢いで全焼するというのは、かなり考えにくい。本稿執筆時点(7月19日)での情報を見る限り、その一番大きな理由は、すでに多くのメディアで指摘されているように、1階から3階までを貫く、らせん階段があったこと、そして「区画」されていなかったため、と考えられる。

 オフィスビルであれマンションであれ、防火シャッターや防火扉によってスペースを区切り、火の手が急激に広がらないような対策をするが、具体的な基準は「建物の用途」や「床面積」によって異なる。

 オフィスビルの場合、不特定多数の人が訪れる場所ではなく社員たちは建物の中をよく知っているから、避難にはさほど手間取らないと考えられる。かつ、危険物を扱うような業務内容ではないだろうし、ごく小規模なビルである。これらを考えると、緩めの基準が適用されたはずで、吹き抜けた形状のらせん階段もOKが出たのだろう。もしもっと大きなビルであったり、用途が異なる場合であれば、こうした形状のらせん階段はNGだった可能性が高い。

 そして、らせん階段部分に防火扉や防火シャッターがあって区画されていればまだしも、それがなかったとなると、らせん階段が炎や爆風の通り道となって、建物の内部全体があっという間に炎と煙に包まれても不思議ではない。

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最終更新:7/22(月) 6:01
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