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西野朗の次なる挑戦はタイ代表。9年前の言葉から紐解く野望。

7/22(月) 12:01配信

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 9年越しの有言実行だった――。

 サッカータイ代表を新たに率いる(U-23代表監督との兼任)ことになった前日本代表監督の西野朗氏が19日、東京都内で記者会見に臨んだ。

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 ガンバ大阪で一時代を築き、日本代表ではワールドカップのロシア大会で16強進出に貢献。国内では名声をほしいままにした感がある名将は、64歳にして新たなステージでの挑戦を選択したのだ。

 近年、サッカー熱が高まってきているとはいえど、未だワールドカップ出場を果たしたことがないアジアの中堅に過ぎないタイ。「自分自身の他国でのチャレンジに対する強い思い」と会見では一見、ありがちな言葉を口にした西野氏だが、過去の言葉を紐解くと、タイ代表を率いるに至った決断がストンと腑に落ちてくる。

以前から海外志向が強かった西野氏。

 まだ西野氏がガンバ大阪の指揮官だった2010年12月、自らの海外志向をこう、口にしたことがある。

 「次のステージを目指すべき、と選手に話しているだけにね。僕自身も高いステージを目指さないといけないと思っている」

 選手以上に、言葉の壁が立ちはだかる監督としての海外挑戦が決して簡単なものでないことは、J1最多勝監督も承知済み。ガンバ大阪との契約が満了し、2012年にはヴィッセル神戸の指揮官に就任した西野氏は、あるインタビューの最中、こんな言葉を聞かせてくれたことがある。

 「(ガンバ大阪を退任後)年が明けて、いくつか海外のクラブから話が来て、最終的には具体的な話まではいかなかったんだけど、リサーチをされて1、2月の辺りでは前向きだったんだ。ただ、自然に話がなくなって、そこに国内のクラブから話が来た」

 結果的にヴィッセル神戸を率いることになった西野氏ではあるが、異国でチームを率いる思いは、当時から温めていたものだったのだ。

会見で繰り返した「幸せ感」。

 タイ代表の指揮官として臨んだ会見で西野氏は「チームを率いる幸せ感」という言葉を2度繰り返した。

 「サッカー監督は中毒性がある」「監督業は自分にとっての生きがい、やりがい」――。

 こんな言葉で現場へのこだわりを口にしていた西野氏だけに、タイからの誘いは渡りに船だったのだろう。

 では、何故西野氏はタイ代表を率いる決断を下したのだろうか。それはタイのサッカーについて語った「非常にポテンシャルがあるサッカー」という言葉に集約されるのだ。

 「可能性だよね。今まである程度客観的に見ていた神戸や、なんとなく神戸へのイメージを作っていた中で、逆に知らない部分がたくさんあって、それに対しての自分のチャレンジでどこまで可能性を引き出せるかどうか。常勝チームではないけれども、昔から俺はそういうクラブには入っていないし、中位を上位にしたり、下位を中位にというチーム作りを志向したりするのが自分という人間でもあるからね」

 ヴィッセル神戸の監督に就任した直後、監督就任にあたってのこだわりをこう話した西野氏。

 ガンバ大阪を率いる際にも「可能性」に魅入られ、大阪の地での指揮を決意したというが、タイ代表が持つ伸びしろが日本屈指の名将の心を揺さぶったのだ。

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最終更新:7/22(月) 14:11
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