ここから本文です

【MLB】歴史は尊重すべき ボール論争のバーランダーの主張

7/23(火) 16:03配信

週刊ベースボールONLINE

 オールスターゲーム前日、ジャスティン・バーランダーがESPNの記者に「MLBで今季使われているボールはまったくふざけている。リーグはホームランを増やそうとボールを変えた。100パーセントそう信じている」と発言。大きな反響を巻き起こし、当日のコミッショナー会見ではその真偽を問う質問が相次いだ。 

【動画】大谷翔平ほか MLB最新映像配信中!

 ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは「リーグは何もしてない」と否定し続けている。実はその2日前、筆者を含む3人の日本人記者でバーランダーから同じ趣旨の話を聞いていた。7月5日のエンゼルス戦で大谷翔平に中越えに打たれたのも含め、3本塁打を被弾。今季1試合3本塁打はすでに4度目と14年間でワーストの記録となった。

「ボールは滑りやすいし、硬く感じる。おかげで選手生活の中で今までにできなかった場所にマメができた。以前はバットの芯を外せば本塁打にならなかったのに、今はバットに当てさせないようにしないと防げない」とあきれたように語った。

 実際前半、MLB全体で3691本の本塁打が出て、6668本ペース。2017年の新記録6105本を再び大幅に塗り替える勢いだ。「MLBがボールの製造元のローリングス社を買収し、今やゴルフボールみたいになった。ホームランか三振かというのは、野球の理想の形だとは思わない。もっとほかにゲームを面白くする方法がある」とバーランダーは主張する。

 同じくMLBを代表する投手のクレイトン・カーショーはこの問題についてこう発言した。「ボールが変わったかどうかは分からないし、私はまったく気にしていない。というのは自分ではコントロールできないことだから。仮に誰かが意図的にホームランを増やすためにやったとしても、両チームにとって同じ条件なのだから、私は構わない。自分のピッチングは変えないし、準備の仕方も一緒だ。好投手ならそんなことに惑わされない。バーランダーを見れば良い。今季ホームランをたくさん打たれているが、依然ア・リーグの最高の投手だ」

 確かにバーランダーは前半リーグワーストの26本塁打を被弾したが、10勝4敗、防御率2.98で名誉あるオールスターゲームの先発投手に選ばれた。それでもリーグを敵に回し厳しい発言を続けるのは彼にとって、野球の歴史は極めて重要なものだからだ。

「120年以上の歴史があるスポーツで、破られるべきではない記録が破られている。それが私には気にいらない。こんな状態で、例えばテッド・ウイリアムズとマイク・トラウトをきちんと比較できるのだろうか?」

 トラウトは9年間で通算打率.306、268本塁打、715打点。1940、50年代にプレーしたウィリアムズは19年間で.344、521本塁打、1839打点。2人はそれぞれの時代を代表する強打者だが、例えばウィリアムズが三冠王に輝いた42年は、MLBで1試合あたり平均で0.44本のホームラン、3.39個の三振だった。19年は1試合当たり1.4本のホームラン、8.69個の三振である。少なくとも、77年前はホームランか三振かの大味なゲームではなかった。野球の歴史は尊重すべき。誇り高きエースの叫びなのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images

週刊ベースボール

最終更新:7/23(火) 16:03
週刊ベースボールONLINE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊ベースボールONLINE

株式会社ベースボール・マガジン社

野球専門誌『週刊ベースボール』でしか読めない人気連載をはじめ、プロ野球ファン必見のコンテンツをご覧いただけます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事