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電力網は「電磁パルス」の攻撃に耐えられる

7/23(火) 8:11配信

WIRED.jp

ここ数年の米国では、電力を巡るひとつの懸念がもち上がっている。仮に北朝鮮などの国による核兵器が米上空で炸裂すれば、電磁パルスの影響で数週間から数カ月にわたって電力が完全に停止可能性がある──というものだ。まるで終末を思わせるこの予測は、米中央情報局(CIA)の前長官や議会の委員会、ジャーナリストのテッド・コッペルの著書の影響で、広く知られるようになった。

北朝鮮が示唆する「電磁パルス攻撃」という脅威

しかし最近になって電力業界の専門家らが、工学的な観点から冷静な研究結果を発表した。送電システムの重要な機構を、電磁パルスから保護できる可能性があるというのだ。電磁パルスが発生した際に停電が発生する州もあるだろうが、米国全土が人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のような状況になることはないのだという。

実際の電気設備を使った実験

研究を発表したのは、非営利の研究機関である電力研究所(EPRI)だ。研究によると、既存の技術を組み合わせれば、送電システムのさまざまな機構を保護でき、しかも太陽フレアや落雷、核爆発による電磁パルスが引き起こすサージ電流に対応した“一石三鳥”の防御装置を実現できるかもしれないという。

「わたしたちは(電磁パルスによって)どんな影響が起こり得るのかを知るために必要な強固な技術基盤をもっています」と、EPRIのプロジェクトマネージャーであり、論文執筆者のランディ・ホートンは語る。「それが以前とは異なることのひとつですね」

ホートンによるとEPRIの技術者は、ロス・アラモスとサンディアにあるエネルギー省の国立研究所の専門家と協働し、電磁パルスによって変電所や配電システムに起こり得る影響についてシミュレーションを実施したという。また、コンピューター上のシミュレーションにとどまらず、ノースカロライナ州シャーロットにあるEPRIの研究施設で実際の電気設備を使った実験を行った。実に3年を要した今回の研究では、核爆発によって発生する3種類のエネルギーに着目している。

まず、爆発からわずか10億分の1秒ほどで高エネルギー波が生じる。これをE1と呼ぶ。第2の波(E2)は1秒間持続し、アースで適切に処理されなければ、落雷と同じように電気系統をダウンさせるが、送電システムへの影響はごく小さなものだと予想されている。

第3の波(E3)は10秒以上にわたって持続する。E3の影響は、同じく周波数が低く持続時間が長い太陽フレアや磁気嵐と同じようなものだ。論文によれば、E1とE3の組み合わせが最も広範囲に最も甚大な被害を及ぼすだろうと指摘されている。

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最終更新:7/23(火) 8:11
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