ここから本文です

【有終の美】鈴鹿8耐・栄光のTT-F1レプリカ[1993]#カワサキ編-01

7/23(火) 19:30配信

WEBヤングマシン

~1993 KAWASAKI ZXR-7 スコット・ラッセル&アーロン・スライト~

’92年の全日本TT-F1は塚本昭一のZXR-7が制した。カワサキのマシンがトップレベルに達しているのは間違いなかった。そして’93年、TT-F1ラストイヤー。カワサキが本気で8耐を獲りにいく。

【写真をもっと見る】

※ヤングマシン2016年8月号より復刻

運があった。確かにそうだが、それだけでは勝てない

決してラッキーではない。周到な準備を重ねた結果の勝利だった。

――カワサキは、国産4メーカーで唯一、8耐優勝の経験がなかった。’83年の2位(ラフォン&イゴア組)が最高位で、’84~’86年にはワークス活動も休止。だが、8耐優勝という悲願は変わらずに抱き続けていた。

長年、採用されてきたTT-F1レギュレーション最後の8耐となる’93年。年が明けた1月からカワサキは早くも本格的なテストを開始する。

ライダーは、前年にもカワサキから出走したラッセルとスライト。AMA ライダーのラッセルは8耐ウィークまでに豪州で1回、日本で3回のテストをこなし、AMAの日程を縫って鈴鹿200kmにも参戦した。同じくスライトも鈴鹿200kmまでに2回のテストに参加。さらに、’92年からカワサキ入りした全日本王者の宮崎祥司らがマシン開発に携わった。

【写真解説:伊藤ハムレーシング カワサキ■スコット・ラッセル(左) / アーロン・スライト(右)……この年、ロブ・マジー監督が率いるカワサキファクトリーのラッセル/スライト組は伊藤ハムをメインスポンサーに迎えた。特にラッセルは春先から多くのテストをこなし、最高の結末に大きく貢献した】

前年まで他をパワーで圧倒したZXR-7は、中低速レスポンスの向上や、耐久仕様のハンドリングに仕上げることを重視。クイックリリースなど耐久特有のパーツの信頼性も上がり、ピット作業のスピードが短縮された。

決勝では、3連覇を狙うドゥーハン&ビーティ、日本人ペア初優勝の期待を背負う武石&岩橋といったホンダ勢に続く、3番手から発進。序盤はトップ争いに絡むもホンダ勢に先行を許してしまう。だがホンダ勢が次々と転倒。代わってトップに立った永井&藤原のヤマハもトラブルで脱落していった。こうして5時間44分、ペースを弛めず力走を重ねてきたラッセル&スライト組が先頭に躍り出る。結局一度のトラブルもなく、8時間を無事走り切った。’78年の第1回大会から16年目、ワークス復帰から7年目にしてつかんだ、まさに悲願の初勝利である。

最大の勝因はノントラブルで走り続けたこと。単純だが、8耐というハードなステージでは決して一朝一夕にできることではない。そこには、去りゆく一時代の最後に何としても初勝利を飾るという強い意志があった。有終の美を飾ったカワサキに対し、表彰式では、メーカーの垣根を超えた惜しみない賞賛と拍手が贈られた。

1/4ページ

最終更新:7/23(火) 19:30
WEBヤングマシン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ヤングマシン

内外出版社

2019年09月号
7月24日発売

定価880円(税込)

大特集:カテゴリー別 新車走評200車
新製品テスト NinjaH2SXSE+他
好評ヤンマシ写真部 顔面博覧会
別冊付録:ツーリングバッグ大図鑑

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事