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年収2000万円のキーエンスを1年で退職。“新卒”には価値がない?

7/23(火) 8:47配信

bizSPA!フレッシュ

グレーな塾長が営む就活塾との出会い

――結果としてキーエンスへの切符を手に入れる事ができた就活塾。どんなところだったんですか?

吉田:個人の方がやっている塾でした。就活指導をする人間としては非常に優秀で、有名大学の学生もさることながら、そうではない一般の大学の学生も名の知れた有名企業へと幾人も送り出していました。ただ、人としては……。

――と、言いますと……?

吉田:実績もあって、能力は確かだったんですが、倫理観に欠けていた。セクハラ、パワハラが横行していました。なかには大学のキャリアセンターや警察に相談したほうがいいと思えるようなレベルに発展することもあったんです。

 学生は人生がかかっているから逃げられない。親にも迷惑がかかるかもしれない。「高い費用を払ったのに……」と負い目を感じている子たちもいた。塾長は彼ら彼女らの気持ちを逆手に取っていたんです。自分はこの塾長と戦いながら、就活に向けて準備を進めていました。

――吉田さんも何か被害に遭われた?
 
吉田:いえ、実を言えば同じ時期に入った人間たちの中では彼との距離感が一番近かったです。気に入られて秘書的な立場をやっていました。人生で「本気で許せないな」と思った初めての人間だったのでそばで監視するべきだと思っていたんです。

 塾長の行いは到底許せるものではありませんでしたが、一方で冷静な目で見れば、彼の授業の中には実際に就職活動に役に立つものがあったことも事実。

 そのときに、自分が彼と同じくらいの能力があればもっと良いものができるだろう。少なくとも塾長の被害に遭ったような学生は減らせるだろうと思ったんです。これが今のモチベーションにもつながっています。

高年収企業「キーエンス」から起業の道へ

――高収入を手放し、独立する……かなり勇気のいることだと思うのですが。

吉田:楽観主義的なところがあるので、私個人はお金のことは意識していませんでした。キーエンスのマネジメント体制は「たくさん金を稼ぎたい」や「商談を何件達成して出世したい」といった、いわゆる“バブル時代”的なモチベーションをベースとしていたのですが、それも自分には合わないと感じていました。

 私のモチベーションには「後世に残るものを作りたい」というものがあり、このままキーエンスで営業職を突き詰めたときに、果たしてそれができるのだろうかと疑問に思ったのも退職理由のひとつです。

 もちろん、キーエンスで培った経験自体は今も十分に生きていると思います。時間や仕事の管理に対する基準が上がりました。どこに行っても何もキツくはないという感覚は手に入れられたと思います。

――どのような経緯で独立にいたったのですか?

吉田:ちょうど社会人2年目のときに、すでに独立していた大学の同期に誘われて、独立しました。

 社会人3年目のときには、VC(ベンチャーキャピタル)からドローン関連の事業を営んでいるベンチャー企業を紹介されたことも。従業員は5人ほどで、ベンチャー企業としてとても面白い時期だったので、渡りに船だと、その企業に参画することに決めたんです。

 順調に成功して約40人規模に成長したところで、ドローンのベンチャーからは離れることにしました。そのあと、ちょうど昨年度末から今年度初頭にかけて、キャリアチェンジとして、これまで携わっていた就活支援事業に加えて、転職ポータルサイトの運営を始めることにしたんです。30歳まではこの道で走っていこうと考えています。

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最終更新:7/23(火) 8:47
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