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「テスラの車でなかったら、夫は死なずに済んだかもしれない」 自動運転車の暴走リスク

7/23(火) 8:00配信

デイリー新潮

自動運転車で初の惨事 大黒柱を奪われた母娘の慟哭(2/2)

 ツーリング中の惨事によって、櫻井隆太さん(仮名・44)=当時=が命を落したのは、昨年4月29日のことだった。事故対応のため、高速道路上に停車していた櫻井さんたち一行のところへ、加速した「自動運転車」が突っ込んだ結果の悲劇である。

 過失運転致死傷罪で起訴された伊藤展慶被告(49)は、自身の居眠りを認めつつも、運転していたテスラ社の「モデルX」に搭載された「クルーズコントロールシステム」の故障が原因と主張。無罪を訴える被告人に、櫻井さんの妻は憤りを隠せない。

 ***

 神奈川県警に聴取されたテスラのエンジニアはこう話したという。〈クルーズコントロール機能は追尾していた車両が車線変更して、代わりに静止した車両が前方に現れるとエラーを起こすことがある。その点は納車時に説明している〉。

「でも、モデルXのマニュアルではこのエラーは“時速80キロ以上で走行中に生じやすい”と説明されています。今回の事故は渋滞に巻き込まれて時速10キロ程度で走行中に起きている。この事態をテスラ社は把握しているのでしょうか」(櫻井さんの妻)

 また、事故当日は、「雲ひとつない晴天で、絶好のツーリング日和だった」(櫻井さんのバイク仲間)。しかも、

「高速道路は横断歩道や信号もなく、歩行者も飛び出してこないので自動運転に適した環境と言えます」

 とはモータージャーナリストの島下泰久氏の弁。

「ただ、それでも事故は起こり得る。“自動運転”を“完全自動運転”と誤解したまま説明書も読まず、販売員の話もろくに聞かずに居眠り運転をしては話になりません。いま存在するのは、あくまでも、“自動運転に向けた技術を用いた運転支援機能”が搭載されている車に過ぎないのです」

法整備も道半ば

 確かに、「自動運転」という言葉には魅力的な響きがあるが、現実的には法整備も道半ばの状態だ。

 国土交通省の「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」の委員を務める、古笛恵子弁護士は、

「今年5月の衆院本会議で、道交法と道路運送車両法の改正案が可決されました。これはレベル3の自動車が公道を走るための法整備と捉えられています。しかし、コンピューターのプログラムには限界がある。レベル3を含めて、当面はあらゆる自動車事故の責任が“運転者”に科されることに変わりありません」

 悩ましいのは「保険」も同じ。日本損害保険協会の広報担当者によると、

「現在、公道を走っている自動車はレベル2以下に限られるので損害賠償責任はドライバーにあります。そのため、基本的には通常の自動車保険と同様に処理される。ただ、今後は事故の原因にシステムの不具合やサイバー攻撃などが絡んで、責任の所在を確定しづらいケースも想定できます」

 今回の事故でも通常の賠償金が支払われるが、刑事訴訟の終了の見込みも立っておらず、遺族はまだ受け取っていない。

 先の古笛弁護士はこう付け加える。

「今回の裁判における弁護側の主張は、医療事故を疑われた医師が、“手術をしなくても患者は亡くなっていた”と主張するのと同じです。とはいえ、ドライバーが居眠りせず、事故前に減速したり、ハンドルを切っていれば、被害者の命は助かったかもしれない。弁護側が“全く避けようのない事故”だったと証明するのは至難の業だと思います」

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最終更新:7/23(火) 8:00
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