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84年間、全180作品を読破した男の「芥川賞」論。情報過多の現代のほうが描写量は少なくなっている?

7/23(火) 6:00配信

週プレNEWS

7月17日に、第161回芥川賞の受賞作が発表され、今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』に決まった。令和初の発表であること、社会学者・古市憲寿(のりとし)氏が2作連続でノミネートされたことなど何かと注目度も高かったが、一方で「受賞作を実際に読んでいる」という人はそれほど多くないのではないだろうか。

そんななか、『芥川賞ぜんぶ読む』という、いかにも骨の折れそうな書籍を上梓(じょうし)したひとりの男がいる。

村上春樹、夏目漱石ら文豪たちの文体を模倣してカップ焼きそばを作る様子を描き、17万部のベストセラーとなった『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』の著者・菊池良氏だ(神田桂一氏との共著)。84年間の180作品を読んだ彼が語る、芥川賞の魅力とは。

* * *

──いきなりですが、この本のために会社を退職されたそうですね。

菊池 そうなんです。これはもともとWebマガジンで副業としてやっていた連載企画で、最初は会社が終わってから取りかかれば十分できる範囲だったんです。でも、芥川賞を全部読むとなるとさすがに難しくて、「じゃあ辞めるか」みたいな感じで退職しました。

──受賞作以外の各作家の代表作も読まれたり?

菊池 それもありますね。単純に作品を読むだけでも時間がかかるのに、さらに作家の生い立ちとかパーソナリティを調べるのですごく時間がかかりました。

──歴史の長い芥川賞ですが、受賞作の傾向ってあるんでしょうか?

菊池 まず、時代によって毛色が明らかに変わりますね。例えば、戦後すぐの石原慎太郎、開高健(たけし)、遠藤周作といった受賞者の作品には戦争の影響が色濃く出ていますし、テーマも「戦後の後始末」的なものが多くて、その分、話も重い。

一方、1970~80年代になると「関係性」の問題を描いた作品が増えてきます。ストレートに男女の恋愛を描いたものもあれば、「ソウルに愛人がいて、妻と別れ話しなきゃいけないけど言えない」と悩む男の話とか、外国に行って自分以外に日本人がいなくて孤立している女性の話とか。

それ以降になると、「自分とは」「俺はどう生きるのか」と問う作品、いわゆる「実存」を描いた作品が増えます。

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最終更新:7/23(火) 6:00
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