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中年になった元ヤンキーの今「地元じゃないと働けないわけ」

7/23(火) 8:53配信

週刊SPA!

 2019年6月19日。窃盗、傷害などの疑いで実刑判決が確定した小林誠容疑者は自宅から刃物を振りかざし逃走。悪質な犯罪者である小林容疑者の逃走を手助けしたのは、地元の不良仲間だった。一般人にはうかがい知れないヤンキー社会の掟とは? 社会に出ても街から出ようとしない地元密着型ワル、その生態に迫った。

地元でしか働けないワルの顔役

杉原雅史さん(仮名・49歳・千葉県松戸市在住)

「小林(誠)もさ、地元なら逃げても何とかなるって気が大きくなったんだろうな。俺もさ、20年前ぐらいかな、深夜にドンドンと扉を叩かれて、何かと思えば、『人を殺した、サツから逃げている、助けてくれ』って中学ん時のツレが来たことあるよ(苦笑)。

 まあ、そいつのこと、嫌いだったから追い返したけどな。ただ、人殺しレベルじゃなくて、身内と思っている相手なら助けたよ。ワルとかやっていれば、前科がつくのも珍しくないからさ、そうすると地元じゃないとまともな仕事にありつけないんだよ。逆に言えば地元なら誰かが助けてくれる。地元から出るほうがヤバいんだよ」

 松戸市内で会った杉原雅史さん(仮名)は、ワルたちは街から出ないのではなく、「出ていけないんだ」と強調する。

「活動範囲で言えば、俺らは錦糸町が限界だな。総武線なら葛西。それより先の都心部は基本、近づかない。あっちは完全に『外』なんだよ。これが埼玉のワルなら大宮止まり。厚木方面のワルなら町田までだし、神奈川なら川崎より先の都心には行かないな」

勉強組、スポーツ組と俺らは別の人種……

 地元に根づくワルたちには、都心部には目に見えない壁があり、それより先はテリトリー=縄張りの範囲外と認識するらしい。これはヤンキーの持つ全国的な傾向という。

「松戸もそうだけど、こういう街は2種類の人間が住んでる。一つは都心で働いている人が、子供が生まれるんで郊外に引っ越してくる。こいつらは俺らと人種が違うんだよ。基本、松戸が嫌い。塾やスポーツクラブに入ったりして、早ければ中学で私立に行く。ほとんどが東京の大学とかに入って、そのまま都心で就職して地元には戻ってこない。端から地元とは思っていないんだよ」

 郊外都市には、もうひとつ、都心でやっていけず、比較的家賃の安い郊外の公団や団地などに移ってくる低所得者も少なくない。その子供たちが都心で働く親を持つ「勉強組」「スポーツ組」に反発するかのようにヤンキー化していく傾向が強いという。

「俺で言えば、中学ん時に先輩からバイクを安く売ってもらって、それで暴走族に入った。学校なんて行かなくなるし、バイクの改造とかもあるんでバイトもしなくちゃいけない。これも先輩の口利きで仕事を紹介してもらえる。だいたいは建築業だな。地元で名前が売れていると、『おお、杉原ってお前か』と、優先的に仕事を回してもらえる。そうして今度は俺が下のもんに紹介してやる。俺らだけが街に残るんだよ」

 都心で働くサラリーマンの子供たちは、次々と地元から去って、残るのはワルだけとなる。各世代のワルたちが地層のように積み重なる。この半世紀、50年分の地層となった「地元ヤンキー」という世界が生まれているのだ。

 建築業ならば別に都心でも働けるのでは、と聞いてみたところ「お前はバカか」と、こう続ける。

「他の街は、地元のヤツがそういうオイシイ仕事を押さえているんだ。関係のない俺に仕事をくれるわけない。だったら地元に残るほうがいい。アホでもわかる理屈だろ」

杉原さんのワル川柳

仲間なら 逃走犯でも かばうっしょ

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!7月23日発売号「社会に出た[元ヤンキー]の光と影」特集より

日刊SPA!

最終更新:7/23(火) 13:58
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