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定番ハッピーターン味の変化、決め手はパウダー受ける溝

7/23(火) 11:00配信

日経ビジネス

 定番商品は中身もデザインも変わらない印象があるかもしれない。しかしその多くは改良を重ねて新しいファンを獲得し、ロングセラーになっている。亀田製菓の「ハッピーターン」は消費者も気づかないうちに味を改善してファンを維持しながら新しい顧客を広げている。

【写真】素焼き直後のハッピーターン。このあとハッピーパウダーをまぶす

 1976年に「欧風せんべい」と称して売り出したハッピーターンは堅い触感にしょうゆベースのせんべいが一般的だった当時、「甘いせんべい」をコンセプトに打ち出した珍しい商品だった。第1次オイルショックで景気が落ち込んでいたことから「幸せ(ハッピー)がお客様に戻ってくる(ターン)ように」との願いを込めて名付けたという。97年に約20億円だった売り上げは2012年に約80億円となった。

●「甘じょっぱさ」感じやすく

 おいしく感じ続けてもらうために、ハッピーターンは売り上げが急成長した2000年代以降、幾度か製法を変更している。「いかに『甘じょっぱさ』を消費者が感じられるようにするかがテーマ」と技術開発部の齋藤直孝マネージャーは語る。

 独特の味を演出するのは、せんべいにまぶされている「ハッピーパウダー」。この金色に輝く粉こそが人気の秘訣ともいえる。詳細は企業秘密というが、砂糖、塩、うまみ成分のアミノ酸、たんぱく加水分解物などを独自に配合してつくっている。パウダーにはコアなファンが多く、「粉だけ売ってほしい」という声もたびたび寄せられているという。

 改良の目標は「製造工程でパウダーをできるだけ落とさない」(齋藤氏)ことだ。素焼きしたせんべいは、ライン上で粉がまぶされる。そこから包装工程までの間、コンベアの段差などで粉が自然に落ちてしまうのだという。

 05年には生地表面にミリ単位の溝を入れることで粉落ちを防ぐ「パウダーポケット製法」を採用した。07年には生地の表面にひびを入れる「パウダーキャッチ」、09年には溝の数をさらに増やす製法が生み出された。15年からは溝をさらに深く、そして味をより濃く感じられるように塩や砂糖の粒度を変えるなど、こまめな改良を続けている。

 パウダーの味や製法は発売から30年近く大きな変更をしていない。パウダーを受ける溝を中心に改良を続ける理由について齋藤氏は「『味が薄くなった』というお客様も出てくる。そんな声を無視すると、商品を生き残らせることはできない」と語る。「食生活の変化に応じてハッピーターンも進化しなければいけないが、大きく変更を加えてはファンが離れてしまう。(消費者が)気づかない程度の改良を積み重ねることが定番商品では大事なことと思う」という。

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最終更新:7/23(火) 13:09
日経ビジネス

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