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ロボットは江戸時代生まれ!? 現代人も驚く江戸の科学者

7/24(水) 8:02配信

FRIDAY

人型ロボットの原点は江戸時代にあった

AIやロボットの進化が止まらない。新しい時代「令和」を象徴するような技術に思われているが、実は江戸時代にもロボットはあった。というより、技術大国日本の礎を作ったのが、江戸時代の技術者たちなのだ。国立科学博物館産業技術史資料情報センター長の鈴木一義氏に、そんな天才技術者と、それぞれが作ったものを紹介してもらった。

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■戦のない時代が、知識と技術の発展を促した

鎖国をしていた江戸時代。しかし、まったく他国との交易を絶っていたわけではない。長崎の出島は西洋に開かれていた貿易港であり、そこから西洋の情報が入ってきた。知識層は、そこから貪欲に知識を学び取り、日本独自の技術を発展させ、それらの知識や技術は、庶民にも伝えられた。これは、戦がなかった平和な時代だったからこそ可能だったと、鈴木一義氏は言う。

「戦がないということは、藩主は領地を広げることができない。与えられた領地でいかに領民を豊かにするかが、藩主に与えられた仕事。だから、中国や西洋から入ってきた役に立ちそうな書物は日本語に訳して、みんなが読めるようにした。徳川光圀が、藩の侍医に命じて身近な薬草の効能や使用法を、わかりやすい言葉で記した『救民妙薬』も、その一つです。光圀はそれを無料で配布しました。

江戸時代の識字率は5割に達していた。これは当時、世界で類をみない高さです。領民も文字が読めれば、日々の生活に必要な情報を得られることを知っていたから、子どもを寺子屋に通わせた。貧乏だったら、子どもにも仕事を手伝わせたほうがいいわけでしょう。そうしなかったのは、それだけ書物が出回り、それが有用だったからです。

戦争をしていれば、敵国に知られてはならないから、知識は一部の人たちに限られます。200年以上もの間続いた平和な時代が、広く社会全体の知識と技術力を高めたと言えます」

■現在のロボット、自動人形の設計図を作った「細川半蔵」(?~1796)

細川半蔵は、時計やからくり人形の仕組みを詳しく解説した『機巧図彙(からくりずい)』という書物を出版した人だ。けれど、もともとは天文学者だったという。なぜこんな本を出したのだろうか。
「西洋の天文学を行うためには精密な測定器が必要です。それがなければ、天文学者がどんなにがんばっても観測ができない。精密な測定器を作るためには腕のいい職人が必要。職人育成のために作ったのが『機巧図彙』だと思います」(鈴木一義氏 以下同)

からくり人形が正確に動くためには、歯車の数やかみ合い精度、それが何回転したら何メートル動くのか、きちんと計算しなくてはならない。今でいう精密工学の知識が必要だ。職人たちに近代の精密工学の基礎を教えた本だといっても過言ではない。

このような知識を詰め込んだ本が出せたのは、細川半蔵自身、「からくり半蔵」と呼ばれるほど、からくり人形を作る技術力をもっていたからだ。この本は全国に広まり、後述する田中久重をはじめとするすぐれた技術者を生み出した。

■天体望遠鏡を作って、世界で初めて太陽の黒点を観察した「国友一貫斎」(1778~1840)

近江国坂田郡国友村(現在の滋賀県長浜市)で生まれた国友一貫斎。この村は鉄砲鍛冶師の村で、彼もすぐれた鉄砲鍛冶師だった。ところが、戦がなくなり、鉄砲だけでは村人たちの生活が成り立たない。そのような中で、あるときオランダ製の反射式望遠鏡を見たのがきっかけで、作ってみたのが日本初の反射式望遠鏡。

「国友一貫斎は、当時国内で最高レベルの技術者。ただモノを作るだけでなく、実験をしているんです。たとえば、当時は『気圧』という概念がありませんでしたが、空気銃を作るとき、なぜ飛ぶのか、空気入れに空気をどのくらい入れれば、どのくらい飛ぶかを試している。飛ばすための原理と、構造的に気密性が必要なことを理解している。

天体望遠鏡もそうです。当時日本の望遠鏡はガラスレンズだけでしたが、一貫斎は金属で凹面鏡を作っている。金属鏡で光を正確に1点に集める。そのためには、何度も試作して、鏡面が球面ではなく放物面でないとダメだということもつきとめています。

さらに、望遠鏡を作っただけでなく、性能を確かめるために太陽の黒点を数えている。こんな観測をしたのは、世界で国友一貫斎が初めてです。彼は1年ぐらいしか続けませんでしたが、もっと長く観測していれば黒点の周期が11年ごとだとわかって、天文学史上最大の発見となったところです。こうした機器に通じた観測やその理解がなければ、日本の天文学は大幅に遅れていたことでしょう」

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最終更新:7/24(水) 8:02
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