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EVの方がエンジン車よりCO2の排出量が多い? 新しい燃費基準”WTW”とは

7/25(木) 17:50配信

Auto Messe Web

製造から廃棄までを含めた量を試算

 G20大阪サミットのエネルギー・環境閣僚会合において、電気自動車(EV)の環境性能の検証法に、ウェル・トゥ・ホイール(WTW)と呼ばれ、燃料や電力の製造段階を含めクルマの利用から廃棄までを含めた二酸化炭素(CO2)排出量を反映することが議論された。

後続距離500kmを実現したリーフe+のバッテリー

 日本が、2030年度までに国内で導入する燃費基準では、世界ではじめてEVを含めたWTWの考えが採用される予定だ。ちょうどその動きに連動するかのように、EVの方がエンジン車よりCO2の排出量が多くなるとの報告があった。

 SKYACTIVという独自のエンジン技術で注目を集めるマツダは、”SKYACTIV‐X”と名付けられる火花点火制御圧縮着火(SPCCI)による新パワーユニットをマツダ3に搭載するのを前に、今年3月に九州大学で開催された日本LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)学会研究発表会において、内燃機関(エンジン)のクルマとEVのCO2排出量の算定という試算を発表。これは、工学院大学との共同研究である。

 その試算によると、日欧米において生涯走行距離20万kmを想定し、WTWによるCO2排出量を算定したところ、日本市場の場合、走行11万km強まではEVの方が生涯CO2の排出量が多く、そこからバッテリー交換を想定した16万kmまではEVのCO2排出量がエンジン車を下回るが、バッテリー交換をして乗り続けると再びEVのCO2排出量が多いと結論付けた。

 EVがエンジン車よりCO2排出量が多いとの結論に、驚く人もあるのではないか。この試算には、クルマの製造/燃料の製造(発電)/使用/保守管理/廃棄の5段階におけるCO2排出量が評価に含まれている。

 学術的研究であるため、資料が入手できる範囲が限られ、比較車種のエネルギー消費性能(燃費や電費)は2018年4月時点で販売されている車種から選ばれている。また、電力を必要とする部分においては、2013年の資料を基にしているという。

 13年というと、11年3月の東日本大震災後であり、日本の電源構成比は極端に火力依存となった。火力への依存割合は、中国より多い状況。なおかつ、緊急で電力供給を補うため、休止していた石炭火力発電所を再稼働しており、火力発電の中でも石炭は天然ガスや石油に比べCO2排出量が多い実情がある。いわば、緊急対応時のCO2排出量を基にした試算といえる。

 震災前まで、原子力発電比率は国内で25~30%に達していた。しかし、13年時点での異存はわずか1%に過ぎない。このため日本は、パリ協定(気候変動枠組条約締約国会議:COP21)になかなか署名できず、中国の方が先に署名したのであった。

 そうした異常事態時における数値を基にした試算であることを念頭に置くべきだ。

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最終更新:7/25(木) 17:50
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