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Art 『国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展』~コレクションの形成と流転数奇な運命をたどる

7/25(木) 18:02配信

中央公論

文・安村敏信 萬美術屋

松方コレクションとは、神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)の初代社長を務めた松方幸次郎(一八八六~一九五〇)が欧州で集めた、三〇〇〇点余りの西洋の絵画・彫刻などと約八〇〇〇点の浮世絵をさす。

 このうち、浮世絵は東京国立博物館の所蔵となったが、西洋の美術品は流転の末、三七五点が第二次世界大戦後、フランスから日本に返還されて国立西洋美術館誕生の契機となった。その中にはオーギュスト・ロダンの《考える人》もある。多くの人が、実物を見たことはなくとも、ああ、あの作品だ、と知っている超有名なものだ。

 では、他の作品はどうなってしまったのか。それが本展のひとつの大きな流れであり、コレクションの形成から流転のさまを八章に分けて説明している。

 そのため、国立西洋美術館所蔵品以外にもさまざまな所蔵家や機関から作品を借用している。例えば、有名なフィンセント・ファン・ゴッホの《アルルの寝室》は、現在パリ・オルセー美術館の所蔵となっているが、これも松方コレクションだったのかと感慨深く感じるだろう。

 一方、松方の収集品でロンドンの倉庫に保管されていたものは、火災によって焼失し、詳細が不明であったが、二〇一六年に保管リストが発見され、内訳が判明した。

 さらに、所在不明とされたモネの大作《睡蓮、柳の反映》が同年フランスで発見された。著しく破損していたが、松方家から国立西洋美術館に寄贈され、修復を終えて初公開される。同コレクションの数奇な運命が実感できよう。

2019年9月23日(月・祝)まで
国立西洋美術館

最終更新:7/25(木) 18:02
中央公論

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