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Film 『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』~たるんだ肉体の男たち その人間味の魅力

7/25(木) 18:02配信

中央公論

文・渡辺祥子 映画評論家

 むくつけき中年男たちがシンクロナイズドスイミング(最近、呼び名がアーティスティックスイミングに変更されたそう)の世界選手権に出場、金メダルを目指す。

 本国フランスでは公開初日に一六万人を動員、六週目には累計四〇〇万人突破、という大ヒット作。英語の“Sink or Swim”を日本語にすれば「イチかバチか」ということで、それぞれが抱える問題に追い詰められた八人の中年男たちが、イチかバチかの決断を下して過酷なトレーニングに挑戦、鬼の女性トレーナーのしごきにネをあげる。その結果、車椅子の鬼トレーナーをプールに投げ込む蛮行アリ。もちろん女性の仕返しは怖い。

 毛むくじゃらの肉体をさらすのはいずれもフランス映画界の大物俳優たち。うつ病で退職、やさしい妻に支えられながら二年も引きこもるベルトラン役を演じるのは名性格俳優のマチュー・アマルリック。007映画の悪役でも有名だ。母にも妻にも捨てられて文句たらたらのイヤ味男になったロラン役はギョーム・カネ、ミュージシャンへの夢にしがみついて娘に軽蔑されるシモン役のジャン=ユーグ・アングラード……二人とも昔はピカピカの美形だった、が。他にも、イイ加減な性格で会社を四つも潰した男や、女に縁がないまま中年になった男などなど、たるんだ肉体がやるせない男たちから生まれる人間味がこの映画の魅力につながっている。

 今回が単独監督デビュー作になるジル・ルルーシュ自身による脚本は、スウェーデン製男子シンクロの記録映画を参考にしたそうだ。



監督:ジル・ルルーシュ
2019年7月12日(金)より全国順次公開

最終更新:7/25(木) 18:02
中央公論

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