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MMTに強い違和感を感じざるをえない2つの理由

7/25(木) 6:20配信

東洋経済オンライン

 アメリカで経済論争を巻き起こしているMMT(現代貨幣理論)の提唱者の1人、ステファニー・ケルトン教授(NY州立大学教授)が来日した。MMTは「異端の経済理論」と紹介されるとともに、これについてさまざまな見解が伝えられている。筆者は東京都内で行われたケルトン教授の講演会(7月17日)に参加する機会に恵まれたので、今回のコラムではこれを紹介したい。

■MMTは「財政均衡主義」への「解毒剤」になり得る

 MMTの理論は幅広い分野に及んでいるため、筆者は、MMTについて全てを十分理解しているわけでない。ただ投資家の視点からは、ある程度理解を深めることができたと考えている。

 まず、MMTが異端の経済理論とされる特徴の一つは、財政赤字や公的債務の規模にとらわれずに、財政赤字を大きく増やすことが可能、と主張する点である。日本では「わが国は財政危機に直面している」という認識は半ば常識になっている(筆者自身はこの認識に極めて懐疑的である)が、この点、MMTは日本の常識とは真逆とも言える。このため多くの方々やメディアも関心を寄せているのだろう。

 この点に関しては、浜田宏一内閣府参与が「ダイヤモンドオンライン」のインタビューで述べているが、筆者は「MMTは均衡財政への呪縛を解く解毒剤になる」という評価が、的確であると考えている。日本では「政府部門の借金が増えてきた」という現象や高齢化を理由に「財政健全化こそが最重要課題」と、(筆者からみれば)根拠が薄弱な見解が多くみられる。浜田氏は、筆者と同様の見解を持っているとみられるが、日本の「根強い均衡財政主義」に基づいた財政運営が過度な締め付けとなってきた、とも述べている。

 その意味で、日本のような財政赤字の国で、経済成長率を高めるために、財政政策を大規模に行うことは、政策手段として取りうることを理解する一つの理屈として、MMTは解毒剤になりえるだろう。なお、筆者自身は、これまでも一般向けのコラムだけではなく、経済分野の専門書に掲載した論説などで、日本の財政問題の本質について同様の指摘を行っている。

 そして、同じような問題意識は、現在金融市場の世界でもかなり広まっていると思われる。2012年後半から、欧州債務危機は収束に向かったが、これと前後して欧州で従前の厳格な緊縮財政が和らぎ、世界経済復調をもたらした。また、2017年にアメリカでトランプ政権となってから、減税を主体とする財政政策が同国の経済成長率を高めた。そして、日本同様に緊縮財政に親和的であったドイツでも、最近は僅かではあるが財政政策は拡張方向に向かいつつある。

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最終更新:7/25(木) 6:20
東洋経済オンライン

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