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「相続税」と「贈与税」…税負担が少ないのはどちらなのか?

7/29(月) 13:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

国は「高齢者の資産がより早く次世代に移転されれば、資産は有効活用され経済活性化に繋がる」として、生前贈与を推奨しています。しかし「贈与税は高い」「贈与税を払うなんてもったいない」などという思いから、なかなか生前贈与が浸透していません。本記事では、生前贈与で贈与税を払うのと、相続を受けて相続税を払うのと、どちらが有利かを検証していきます。※本連載では、円満相続税理士法人の橘慶太税理士が、専門語ばかりで難解な相続を、図表や動画を用いてわかりやすく解説していきます。

生前贈与は「財産を小分けに渡す」ことが前提

贈与税を払うなんてもったいないと思っていませんか? 贈与税は高い税金だと思っていませんか? 実は、全然違います。贈与税は、とってもお得な税金なのです。

相続税も贈与税も、財産を渡した時にかかる税金です。相続税は亡くなってしまった時、贈与税は生前中に財産を渡した時にかかります。それでは、相続税と贈与税はどちらを払ったほうが得をするでしょうか? 結論からいうと、(金額にもよりますが)贈与税を払ったほうが得をする可能性が高いのです。本記事では、このメカニズムを解説していきましょう。

まず、贈与税の話をする前に、相続税の計算方法を見ていきましょう。相続税はどのように計算するかというと、初めに、亡くなった人の財産の評価額を計算します。評価額の計算が終わったら、基礎控除という金額を財産の合計額から引きます。基礎控除を引いても余ってしまう部分に対して相続税の税率をかけて、相続税を計算していくことになります。裏を返すと、財産がすべて基礎控除以下になる人には、相続税はかからないということになります。

※基礎控除の金額は、300万円+法定相続人の数×600万円という計算式で計算します[図表1]。相続人が3人であれば、4800万円ということになります。

それでは、具体的に相続税はどのくらいの税率で課税されるかというと、次のとおりです[図表2]。

イメージでいうと、下記のような感じです[図表3]。

相続税は、基礎控除を超えた部分に最低10%~最高55%の税率で課税されます。亡くなった人の財産の大きさによって、だんだん税率が高くなっていく累進課税とよばれる構造になっています。

それでは贈与税の税率を見ていきましょう。まず、贈与税は年間110万円までは非課税です。1年間に110万円を超える財産をもらった人は、110万円を超える部分に贈与税がかかります。では、110万円を超えた部分に、どれくらいの贈与税率がかかるかというと、次のとおりです[図表4]。

先ほどの相続税の税率と比べると、以下のとおりになります[図表5]。

このように比べると、「どちらの税率が高いかな」と、単純に比べてしまう人も多いかもしれませんが、ちょっと待ってください。この相続税の税率表と、贈与税の税率表を比べることは、実は、とってもナンセンスなのです。相続税と贈与税は、財産を渡すときにかかる税金という性質は同じですが、前提となる考え方がまったく違うのです。

相続税は、財産の持ち主が亡くなってしまったことにより、相続人に全財産を一度に渡す際にかかる税金です。一方で、贈与税は生前中に財産を渡す際にかかる税金ですが、生前中に全財産を一度に贈与してしまうなんてことはありえるでしょうか?

まったくいないとはいえませんが、ほとんどあり得ませんよね。もし、生前中に全財産を一度に贈与するという前提であれば、先ほどの相続税の税率表と贈与税の税率表を比べればわかるように、贈与税のほうが圧倒的に高くなります。

また、相続について考えてみても、財産をちょっとずつ相続させる、ということはできませんよね。天国に財産は持っていけませんから、相続の時は、全財産を一度に渡す以外ありえません。

このように、相続税は一度に全財産を渡すことが前提となっていますが、生前贈与は財産を小分けにして渡していくことが前提になっています。そのことから、この2つの税率表を単純に比べるというのは、前提が大きく違っているので、ナンセンスな議論なのです。

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最終更新:7/29(月) 13:00
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