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梅雨疲れからの夏バテにご用心 「うつ」招くことも

7/30(火) 10:12配信

NIKKEI STYLE

多くの地域で、ようやく待ち望んでいた太陽が戻ってきました。あなたの心と体はお元気ですか?こんにちは、精神科医・産業医の奥田弘美です。

さて私は現在18社の嘱託産業医をしていますが、体調不良を理由に遅刻や欠勤が増えるなど勤怠不良になる社員が、梅雨時期から盛夏にかけて徐々に増えていきます。

■「体が重だるい」「食欲がない」…… その原因は?

会社からの依頼で産業医面談をすると、
「体が重だるくて仕方がない」
「食欲が落ちて、きちんと食事が食べられない」
「胃腸の不調がこのところ続いている
(胃のもたれ、吐き気、下痢、便秘、腹痛、おなかのハリなど)」
といった症状を訴える人に頻繁に遭遇します。

そしてその中には、
「睡眠が十分にとれない
(寝つきが悪い、または夜中に何度も起きてしまう)」
「頭痛がひどくて仕事に来られない」
「体がふらふらして、めまいのような感じがする」
といった、不眠や強い身体不調にまで進んでしまっている人もいます。

さらにこうした症状に加え、
「何もする気がしない」
「頭がボーっとして仕事に身が入らない」
「毎日憂うつで人と話したくない」
などとメンタル不調の症状を呈している人も少なくありません。

こうした一連の症状は、6月から8月にかけて続く日本独特の高温多湿で不快度の高い夏のストレスによって発生する自律神経失調状態(自律神経系の乱れによって起こる症状)であることが非常に多いのです。

特に今年の梅雨は、蒸し暑いかと思えば肌寒くなるなど、気温も天候も変動が大きかったため、自律神経系に負担がかかっています。多くの人が例年より夏バテになりやすくなっていますので、要注意です。

ちなみにこの「夏バテ」と呼ばれる、猛暑の時期に食欲が低下して寝苦しくなり、体が重だるくなって気力や体力が落ちる状態も、医学的に説明すると自律神経失調状態です。まずは自律神経系の働きについて簡単に説明しましょう。

■自律神経が疲れ果ててしまうのが「夏バテ」

自律神経系は交感神経と副交感神経に分かれ、双方が絶妙なバランスで切り替わりながら常に体の内部環境を一定にするように働いています。日中には交感神経が優位となり、血圧や脈拍を上げ、胃腸の動きを減らして筋肉を緊張させ体を活動状態にします。日が暮れて夜になると副交感神経が優位となり、血圧や脈拍を下げて筋肉を弛緩(しかん)させて体をリラックス状態にしつつ、胃腸の動きを高め食物の消化吸収を促します。

また自律神経系は気温の変化に応じて、血流や発汗を調節して体温を一定に保つ働きも担っています。暑いときは体の表面に近い細い血管を大きく拡張させて血流を増やしたり発汗させたりすることで、体内の熱を体の外へ逃がして体温が上がらないように調節します。逆に、寒いときには血管を縮めて血流を減らすことで、できるだけ熱が体外へ逃げないように調節します。

このように自律神経系は、体を外界の変化に上手に適応させつつ体内環境を一定に保つために日夜不休で頑張ってくれているマルチでスーパーな神経系です。いわば体全体の統括マネジャーと言ったところでしょうか。

その自律神経系が盛夏の時期に酷使されて疲れ果ててしまうのが、夏バテです。

真夏の高温多湿の環境に体を適応させるだけでも大変なのに、特に近年は屋外が高温になるとともに屋内ではエアコンをガンガン稼働させるために激しい気温差が発生します。1日に何度も発生するこの気温差に体内環境を適応させなければならないために、自律神経が疲れ果ててしまい交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなり、自律神経系のバランスがどんどん崩れていくのです。

その結果、自律神経系が支配している臓器でも不調が発生し、胃腸の不調や食欲不振、睡眠障害、めまい、抑うつなど様々な症状が起こってくるのです。

近年、地球温暖化の影響を受け、日本の平均気温はどんどん上昇してきています。気象庁によると、特に1990年代以降、高温となる年が頻繁にあり、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の夜)や猛暑日(1日の最高気温が35℃以上の日)が増えています。

当然ながら日本の夏期(6~9月)の平均気温も上昇傾向にあり、一昔前に比べて梅雨はより蒸し暑く不快になり、真夏は酷暑の日々が9月に入っても続くため、夏バテ(夏期の自律神経失調症)になる危険性も、前倒しになるとともに長期化しているといえるでしょう。

加えてインターネット、スマホの普及によって、現代の働く人の毎日のONとOFFの区別は限りなく希薄化しており、夜になってもデジタル機器からのブルーライトを浴びながら仕事を続けたり、夜遅くまでSNSやゲームに興じたりする人が激増しています。そのため多くの現代人の自律神経系は普段から疲労気味となり、予備能力が低下しているのです。そんな中、6~7月頃から不快な高温多湿な気候が発生するため、真夏を待たずして自律神経失調状態になる人が一昔前に比べて増えているのだと思います。

自律神経系の不調が悪化するほどに、睡眠が十分にとれなくなり、胃腸の調子も乱れて体全体が重だるくなるので、当然ながら脳の疲労回復も滞り、気力低下や抑うつといったメンタル不調も発生しやすくなります。ネットや雑誌の記事などでは数年前から「梅雨うつ」「夏うつ」などの文字が頻繁に見られるようになりましたが、これらも、不快な夏の気候(梅雨も含む)がベースとなって発生する自律神経失調状態が重症化してメンタルにも及んだ結果といえるでしょう。

さて今年の梅雨も高温多湿でムシムシのひどい日々が続きました。また関東地方から東北にかけては、最高気温が25℃以下になる「梅雨寒(つゆざむ)」と呼ばれる日も例年より多く発生しました。こうした一時的に発生する梅雨時期の気まぐれな気温差も、自律神経系が疲労する原因となります。

今まで夏バテ知らずで夏を乗り越えてきた人も、気付かぬうちに自律神経系に疲れがたまっている可能性がありますので、これから迎える酷暑時期に備え、ぜひ自律神経系をこれ以上疲れさせないためのセルフケアを心がけていきましょう。

ここでは夏バテ・夏うつを予防するための基本のケア法を4つご紹介したいと思います。

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最終更新:7/30(火) 12:15
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