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悠木碧、堀江由衣……“声優として歌を唄う”強みを生かした2作品に注目

8/1(木) 15:00配信

リアルサウンド

 もはや声優が歌を唄うことは不思議なことでもなんでも無くなった。名義に違いはあれど、アリーナ会場をバッチリと埋めてライブを披露し、観客を満足させる姿は、もはやシンガーやバンドマンと比較されてもおかしくないほどになってきた。そこで本稿では「声優として歌を唄う」という強みを生かした2作品に注目したい。

●悠木碧『ボイスサンプル』

「もともと歌が得意な方ではないですし、すごく歌いたい人でも実はなくて」

 今作にまつわるインタビュー(https://www.buzzfeed.com/jp/tatsunoritokushige/aoi)を読むと、悠木碧がそのように答えているのを見つけた。

 2011年に放映された『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどか役でブレイクし、その後の活躍はアニメファンならば誰しもが知るところだろう。尊敬する女性声優には沢城みゆきを挙げ、沢城同様に悠木は、幼女や少女、大人の女性や少年役までこなせる声色と演技力を身につけ2010年代のアニメシーンに無くてはならない声優へと成長した。

 ファンの心を掴むのは、その高い演技力と声色だけではない。彼女のTwitter、ラジオでのトーク内容、ファンイベントでの振る舞いを見れば明らかなように、彼女は自他ともに認めるオタク気質な女性で、ファンからも親近感をもたれやすい声優だといえよう。

 2015年に発売した『イシュメル』は、「スキマの世界」をテーマにしたアルバムだった。全体的にダークメルヘンなムードが漂っており、“声優アイドル”というイメージを寄せ付けない、彼女の創作性が感じられた作品だったのだ。さらに、2016年に発売したミニアルバム『トコワカノクニ』では、主旋律、ハーモニー、リズムトラック、コードバッキングなどをすべて自身の歌声で表現してみせ、その才覚により磨きをかけた。

 声優はなぜ歌を唄うのか。どのようにして唄うべきなのかーーこれまでの作品からは、彼女がこれらの点について意識的に向き合ってきたことがうかがえる。

 そんな彼女が作り上げた4年ぶりのアルバム『ボイスサンプル』は、タイトル通りに“『悠木碧のボイス資料”』とも言えるものに仕上がった。コンセプトは「歌っている自分も主人公も、すべてが違う」ということ。楽曲ごとに異なる声色で表現し、無二のキャラクター性が宿っている。さらに「Counterattack of a wimp」は『戦姫絶唱シンフォギア』の立花響、「死線上の花」は『幼女戦記』のターニャ、「バナナチョモランマの乱 (無修正版)」では『アホガール』の花畑よしこなど……彼女がこれまで演じてきたキャラクターとの結びつけることもできる(先日公開された「バナナチョモランマの乱(無修正版)」MVを見れば明らかだろう)。本作では、10年以上キャリアを積んだ彼女の声優としての力量が存分に発揮されているのだ。

 そしてなにより本作が素晴らしいのは、「悠木碧らしい声」が捉えにくいというところにある。悠木は楽曲ごとに巧みに声色を使い分けることで、ボーカリストではなく声優として、また一人の表現者であることを貫いている。彼女は自身の声を武器にして、11個分の創作物を新たに作り上げたといっても過言ではないのだ。

 今作発売後には、自身が陣頭に立って企画・原作・キャラクター原案を行い、完全オリジナルアニメーション制作を0から仲間と目指す『YUKI×AOIキメラプロジェクト』も発表された。声優というだけでなく、表現者、創作者としての彼女に、今後も注目すべきだろう。

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最終更新:8/1(木) 15:00
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