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ウクライナで復活、プーチンお友達政党とその限界

8/1(木) 6:00配信

JBpress

 7月21日、ウクライナで最高会議選挙が行われた。

 ゼレンシキー大統領の与党「人民の公僕党」が比例区・比例区だけでなく小選挙区においても地滑り的勝利を収め、独立ウクライナ史上初めて単独政党による過半数議席獲得に成功した。

 ウクライナ有権者が最重要視する問題、すなわち東部ドンバス紛争の解決と公共料金高騰には特効薬がなく、4月の大統領選挙での圧勝の勢いがあるうちに選挙を前倒し実施したゼレンシキー陣営の作戦勝ちといえよう。

 注目されるのは、親ロシア政党「野党プラットフォーム・生活党(以下、野党生活党)」が第2党に躍進したことである。

 他の既存政党が大統領新党にことごとく票を奪われるなか、得票率を伸ばした野党生活党の健闘ぶりが光る。

 同党は、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領と親密な関係にあるヴィクトル・メドヴェドチューク氏が率いていることでも注目される。プーチン大統領は、メドヴェドチューク氏の娘のゴッドファーザー(名づけ親)なのである。

■ プーチンのお友達

 「プーチン大統領との個人的信頼関係」を売りとする政治家は世界に数多いるが、ウクライナのヴィクトル・メドヴェドチューク氏はその極北であろう。

 メドヴェドチューク氏は一貫してクレムリンの対ウクライナ政策と合致した公約に掲げ続けている。

 内政では、ロシア語の保護、そして連邦制導入ということになる。同様の政策は、同じく旧ソ連諸国モルドヴァのドドン大統領と社会党も採用している。

 第2が、利権の共有である。

 メドヴェドチューク氏はエネルギー利権、すなわち石油製品や石炭のウクライナへの輸入利権を持っている。エネルギーの供給源はロシアと被占領下にあるウクライナ東部であり、クレムリンと緊密な関係がなければ困難なビジネスである。

 ウクライナ大統領選挙で野党生活党から立候補したボイコ氏は、ウクライナのエネルギー関連ポストを歴任した人物であり、ガスプロムを巻き込んだ天然ガス再輸出スキームのウクライナ側の立役者であった。

 さらにいうと、メドヴェドチューク氏はポロシェンコ前大統領を政界に導いた人物であり、第2代ウクライナ大統領クチマを支えたオリガルヒの一人だった。

 ポロシェンコ・プーチン両大統領に顔が利くことから、ドンバス和平交渉に際して、正式な任命手続きを経ずにウクライナ側代表団に「ボランティア」の形で参加していた。

 クチマ元大統領を全権代表とするウクライナ代表団は、彼のパーソナル・ジェット機で交渉地ミンスク入りしていた。

 選挙の際、クレムリンはこうした「お友達」に援護射撃を行ってくれる。

 モルドヴァを例にとると、ロシア政府は今年初めにモルドヴァ産ワインの禁輸解除措置の延長を発表し、さらには2月24日の投票日直前には社会党のライバルであるモルドヴァ民主党党首の古いスキャンダルを突如として浮上させた。

 ウクライナの場合はさらに強力である。

 3月31日の大統領選挙直前、野党生活党のメドヴェドチュークおよびボイコ両氏がロシアを電撃訪問し、一野党政治家という身分ながら、メドヴェージェフ・ロシア首相およびミレル・ガスプロム社長と会談するという大歓迎を受けた。

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最終更新:8/1(木) 6:00
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