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薬剤耐性を身につけた"南京虫"が再上陸。 「スーパー・トコジラミ」が日本中をかゆくする!

8/1(木) 6:00配信

週プレNEWS

刺されたらかゆくて我慢できないといわれる害虫が日本に侵入し、被害拡大中だ。だがその正体は、かつて国内にも普通にいたトコジラミ。それが今頃なぜ? 侵入生物研究の第一人者、国立環境研究所・五箇公一(ごか・こういち)先生に聞いた!

【図表】訪日外国人とトコジラミの駆除依頼件数の推移

■日本から一掃されたはずの害虫が復活
──昨年のヒアリに続いて近頃、日本に恐ろしい害虫が侵入し、定着しつつあるそうですね。今、われわれが注意すべき"外タレ"は、どんな生き物なのでしょう?

五箇 それはズバリ、「トコジラミ」です。

──え、トコジラミ? 「南京虫」とも言われますよね。それって、日本にもいた害虫じゃないんですか?

五箇 そうです。ケジラミやノミといった害虫と同じで、かつての日本にはトコジラミも普通にいました。

特に戦後すぐの衛生状態が悪かった時代には問題になって、子供たちがDDTという殺虫剤を頭から吹きかけられている様子を、昔のニュース映像で見たことがある人もいるんじゃないでしょうか。

その後、日本の衛生状態が飛躍的に改善し、ピレスロイドという成分が含まれる殺虫剤が普及したことで、トコジラミはいったん人間の生活圏から一掃されました。

ところが、そうした殺虫剤が世界中で広く使われたことで、薬剤に対する抵抗性を身につけたニュータイプのトコジラミが現れました。彼らは殺虫成分を自分の体の中で分解できる能力を備えています。いわば「スーパー・トコジラミ」です。

この進化したトコジラミが、グローバル化によって日本にも入り込んでいます。その意味では"外タレ"といっても「リバイバル系」という感じですね。

──日本ではいつ頃から「トコジラミ・リバイバル」が始まったのでしょう? また彼らはどこから「再来日」したのですか?

五箇 正確にいつからかはわからないのですが、スーパー・トコジラミが現れたのが21世紀に入った頃なので、かれこれ20年ぐらい前になると考えられます。

その後、日本では都市を中心にジワジワと勢力を拡大していますが、宿泊施設で見つかっても、トコジラミ発生による風評被害を恐れて、これまでなかなかメディアで報じられてきませんでした。

ただし、役所に寄せられる相談件数や害虫駆除業者への駆除依頼件数を見ると急激に伸びているので、勢力を拡大していることは間違いないでしょう。つい最近も地方の老人介護施設でトコジラミが発生し、2週間にわたって閉鎖されるといった事態が起きたと聞いています。



では、スーパー・トコジラミはどこから持ち込まれたのか? その流入元は、今となってはハッキリ言ってわかりません。薬剤耐性を持ったトコジラミの拡大は、アジアだけでなくアメリカやヨーロッパでも起きていて、世界中の都市で大きな問題になっているからです。

つまり、スーパー・トコジラミは世界のどこからでも日本に入ってくる可能性があるし、逆に日本からの海外渡航者が流出元になったとしてもおかしくありません。

トコジラミは人間の衣服や荷物の中、靴の裏などにくっついて運ばれます。訪日外国人旅行者が増え国内への人の流入が増えるほど、当然、トコジラミが流入するリスクも大きくなります。

また、1年後に迫った東京オリンピック・パラリンピックでは、さまざまな国の人が一気に日本にやって来るので、そのリスクはさらに増大しますし、トコジラミ以外の外来生物が持ち込まれる可能性だってあるでしょう。

──うわぁー、オリンピックに合わせてアスリートだけでなく、世界各国のトコジラミ代表が東京に集結か!?

■天敵のいない人間の住宅はパラダイス
──ところで、トコジラミってどんな虫で、具体的にどんな害があるのでしょう?

五箇 トコジラミはシラミの一種ではなく、昆虫の分類群としてはカメムシの仲間です。色は茶褐色で人の血を吸うと濃褐色になります。体長は幼虫で1mmから5mm、成虫で5mmから8mmほどです。

日中はベッドの下や洋服ダンスなどに隠れています。夜になると出てきて、人やペットの皮膚のやわらかい場所を刺します。その刺された場所はアレルギー反応を起こして、強烈なかゆみを引き起こします。

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最終更新:8/1(木) 6:00
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