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火星を“地球化”して移住するには、ある素材が生み出す「温室効果」が鍵になる

8/2(金) 12:11配信

WIRED.jp

その効果は局所的?

おそらく最も重要なのは、この方法を使えば火星を速く温められるということだ。二酸化炭素を地中から解き放ったり(二酸化炭素があればの話だが)、超温室効果ガスを合成して放出したりする手法と比べて、数百年、数千年というレヴェルで速いと考えられている。

その反面、効果は必然的に局所的になると指摘するのは、NASAエイムズ研究所の宇宙生物学者で火星の専門家であるクリス・マッケイだ。あくまで局所的な“変更”にすぎず、テラフォーミングとは言えないというのだ。

「米中西部の地域ひとつ分の広さを覆うぐらいはできるでしょうね」とマッケイは指摘する。「惑星全体を覆う温室をつくる方法として知られている唯一の方法は、大気中の気体で覆うというものです。地球でわかっているように、これが惑星を効率よく温める方法です」

2018年7月に発表された火星の分析データでは、火星の大気の二酸化炭素はほとんどが失われており、自然な温室効果による温暖化が起きるほど十分な量は残っていないことが示されている。この論文の著者のひとりでコロラド大学の惑星科学者であるブルース・ジャコスキーは、ワーズワースのアイデアについて、たとえ小規模でしか実行できないとしても試してみる価値はあると言う。

「実際にどれだけ機能するのかについて、いくつか疑問点があることは想像できます。大気から沈降してくる塵によって効果がなくなるのではないか、エアロゲルには火星での現実的な環境に耐えられるだけの強さがあるのか、といったものです。しかし、これらの疑問は対処できるものだと考えます」

小規模で実施することは、実はテラフォーミングにとっても有利だとワーズワースは言う。「生命体が存在する懸念がないので、確実な地域を選ぶことができます」

まずは火星に似た環境から

とはいえ、実行するのは水の氷が存在する場所である必要があり、極限環境微生物がいる可能性は残る。「検討する必要がある倫理上の考慮事項があるのは確かですが、全体規模で何かしようとする場合と比べれば、はるかに管理しやすいものです」

このアイデアの最もクールなところは、まずは地球上にある火星とよく似た環境でテストできる点だ。例えば、チリのアタカマ砂漠や、南極のマクマード・ドライヴァレーなどである。

それが次のステップになる。つまり、シート状のエアロゲルをドライヴァレーの砂利にかぶせてみて、地面が温まり、氷が溶けるか確認するのだ。もしそれがうまくいったら、次のステップはひょっとすると火星になるかもしれない。

ADAM ROGERS

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最終更新:8/2(金) 12:11
WIRED.jp

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