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トミタオートにはロールス・ロイス コーニッシュからモーガンまで極上英国車も並んでいた──連載「STORIES OF A CAR GUY」第8回

8/3(土) 21:11配信

GQ JAPAN

前回までのあらすじ──1970年代後半、日本中の老若男女がスーパーカーに熱くなった。スーパーカーブームだ。けれどもいちクルマ好きとしての富田の興味はイタリアンスーパーカーに留まることなどなかった。英国、ドイツ、フランス、アメリカ……、世界中のスポーツカーに興味をもった。ありとあらゆるクルマを乗り尽くしたからこそ、進むべき次のステップが見えたのだろう。今回は富田が今でも最も好んで乗っている英国車の思い出を振り返ってみよう。

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英国車:ジャガーの紳士

ポルシェ356とジャガーEタイプが若い頃の富田の憧れだった。サラリーマン時代のこと。当時、日本中がボーリングブームに沸いていたが、富田も例に漏れずハマっていた。否、根っからの凝り性である富田は、サラリーマン生活を抜け出すため、真剣にプロボウラーを目指していた。

通ったボーリング場にはいつもシルバーのEタイプが停めてあった。全国大会出場をかけた予選の最中に恰幅のいい紳士から声を掛けられた。なぜか富田がクルマ好きであることを知っていたその紳士は、「この予選に勝ったら君をEタイプに乗せてあげよう」と言う。聞けば、このボーリング場の経営者だった。

残念ながら富田は予選で敗退した。肩を落として会場を出ようとすると玄関にシルバーのEタイプが横付けされていた。

「よう頑張ったな。食事でもしに行こか」。

Eタイプはそのまま富田をのせて比叡山方面へと向かった。興奮のドライブだった。親の顔すら知らない富田にとって、その紳士は理想の父親にもみえたのだろう。比叡山のレストランでは自分の将来について熱く語っていた。

「そんなにクルマが好きなら早く独立しなさい」と、紳士は富田を激励した。京都では有名な実業家だった。

「ボクもいつかジャガーが買えるように頑張ります!」。

ワインを嗜んだ紳士は、最初からそのつもりだったのだろう、帰り道のドライブを富田に託している。夢見心地のジャガー初ドライブから数年後、独立を果たした富田は緑のEタイプを買って、紳士との約束を果たした。

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最終更新:8/3(土) 21:11
GQ JAPAN

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