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虐待などから子どもたちを守る「特別養子縁組」を支えるNPOスタッフの日常

8/3(土) 12:00配信

BEST TIMES

■全国各地で活躍するNPOスタッフ

  現在、虐待やネグレクト(育児放棄)などの状況から保護を必要とする子どもの数は、国内で約4万5000人にものぼるとされています。私はNPOを運営し、これまでそのような子どもたちを支援する「特別養子縁組」のサポートに携わってきました。特別養子縁組とは、実親との親子関係を解消し、養親と新しい親子関係を結ぶことができる公的な制度です。

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 その活動を開始したのは、私自身が妻とともに子どもを望みながらも不妊に苦しみ、さらに特別養子縁組を望んでもずっと待たされてしまうという経験を経たことが理由でした。私は、自分の後に続く人たちが同じような思いをしないように、そして子どもたちの幸せのために、強い決意でこの仕事に挑んできました。

 私が運営するNPO法人全国おやこ福祉支援センターには、そんな想いに賛同して活動してくれているスタッフがいます。支部パートナーというかたちで活躍する彼らは、本部に所属しながら全国各地に点在しています。妊娠や出産に悩む実母からの相談に対応する上で、彼らの存在は欠かせません。実母とのスピーディな対面相談が、その後のサポートを着実に進める役割を果たしてくれています。

 今回はスタッフたちがどのような想いで活動を始めたのか、また現在業務に取り組んでいるのかをご紹介したいと思います。子どもの命と家族の生活に向き合う、スタッフの日常を感じ取っていただけたら幸いです。

なお、支部名と個人名についてはすべて仮名です。

(1)古澤 美智子(フルサワ ミチコ) 福岡支部

Q:どんなお仕事をされていますか? 

A:企業向けに研修を行う会社の経営をしています。

Q:支部パートナーとして活動しようと思われた動機をお聞かせ下さい。

A:仕事柄、働く女性のさまざまな悩みを聞かせていただく機会が今までたくさんありました。中でも予期せぬ妊娠のため、あるいはシングルマザーであるために多くの障壁にぶつかり、誰にも相談できないまま未来を諦めている女性たちのことがずっと気がかりでした。
 例えば、どんなに仕事で活躍していた女性であっても妊娠をきっかけに思うように働くことができなくなり、解決策を見出すことなく退職に追い込まれてしまうなどといったケースがありました。そしてその結果、中絶を余儀なくされたり、シングルマザーとなって生活に困窮するケースを多く目にしてきました。
 経済状況が軌道に乗るまでの間だけと考えて、生まれた赤ちゃんを乳児院に預けて働いていたあるシングルマザーのことも心に残っています。小学校入学を機に我が子を引き取ったものの子どもが新しい生活になじめず、親子関係の構築に苦労していると話されていました。
また、自傷行為を繰り返す方もいらっしゃいます。そのようなことは、実親からDVを受けていた方、あるいは児童養護施設で育った方に多く見られました。
 こういった経験から、抜本的な解決策を模索する機関が必要であるということをかねてより感じていたところ、このNPOと支部パートナー制のことを知りました。自分にもお手伝いできることがあるかもしれないと考え、始めることにしたのです。

Q:活動開始以来、お気付きになったことがあれば教えて下さい。

A:特別養子縁組あっせんの活動は、子どもの幸せを第一優先とした取り組みであり、そのことは日頃から自分にもよく言い聞かせています。養親希望者への家庭訪問の際には、物事をバランスよく見る客観性と冷静さを保つことが必要です。
 けれども、養親希望者と対面して話を伺うと、どうしてもその気持ちを強く受け止めざるを得ません。また、実母様に対しては未来を諦めてほしくないという感情が湧き起こってきます。子どものための制度ではありますが、同時に、実母と養親希望者にも幸せになってほしいと心から思うようになりました。

Q:これからの抱負をお聞かせ下さい。

A:誰もが皆、生きること、またよりよく生きることを諦めない世の中づくりのお手伝いを私自身が諦めることなく取り組んでいきたいと思います。

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最終更新:9/17(火) 20:21
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