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端役人生70年、加藤茂雄さん「僕の俳優人生は黒澤明監督のおかげ」

8/5(月) 11:04配信

女性自身

「こんなに大勢の人が見に来てくれるなんて、本当にびっくりだよ」

うれしそうに白い歯をのぞかせてはいたものの、思いもよらぬ“大入り”に、ベテラン俳優はどこか、たじろいでいるようにも見えた。

6月1日、梅雨入り間近の神奈川県鎌倉市。材木座海岸にほど近い光明寺には、いつにも増して多くの人が集まっていた。人々の目当ては、地元・鎌倉が舞台の新作映画。やはり地元出身で、この寺にも縁のある俳優が主演をつとめ、この日は境内にある開山堂で、上映会が催されていたのだ。

開場とともに受付には長蛇の列が。事前に並べられた座席はまたたく間に埋まり、急きょ、寺じゅうからありったけの椅子が運び入れられた。立ち見も含め、会場は250人の観客でいっぱいになった。

「事前に売れた切符が50枚ぐらいと聞いてきたから、半分でも埋まればいいかな、と思っていたんだ。それが、ふたを開けてみたら、この大盛況。会場はぎゅうぎゅう詰めだったね」

申し訳なさそうにこう話すのは、70年ものキャリアを誇る俳優・加藤茂雄さん。この上映会のすぐあとに誕生日を迎えた、御年94。

しかし、その名を聞いても、多くの読者はピンとこないことだろう。それもそのはずで、加藤さんは決してスターではない。いわゆる「大部屋俳優」の1人だ。

戦後、日本映画が隆盛を極めた時代。加藤さんは東宝の専属として数多の名作に出演してきた。専属を解かれて以降は、テレビドラマにも活躍の場を広げた。これまでに演じた役は、優に千を超す。とはいえ、そのほとんどはセリフが一言でもあれば御の字という端役。エンドロールに名前が載らないなんてことも、少なくなかった。

そんな加藤さんが、93歳にして映画の初主演を果たした。ギネスブックには未申請ながら、世界最高齢の初主演俳優と、各方面から注目を集めている。

その映画というのが、この日、地元でお披露目され、8月2日まで東京・新宿ケイズシネマで上演中の『浜の記憶』なのだ。妻に先立たれた老漁師と、写真家志望の若い女性が、70歳という年の差を超えて心を通わせていくストーリーだ。

この日の上映会。映画はクライマックスを迎え、エンドロールが流れ始めると、まず真っ先にスクリーンに現れたのが「加藤茂雄」のクレジットだった。堂々と大写しになった自分の名前を見つめる主演俳優は、観客からの温かな拍手に包まれながら、どこか照れくさそうな表情を浮かべていた。

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最終更新:8/5(月) 11:04
女性自身

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