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ニューアルバムのテーマは港街 クレイジーケンバンドが語る横浜愛!【前編】

8/6(火) 16:00配信

ウォーカープラス

横浜市出身、横山剣率いるクレイジーケンバンド(以下、CKB)のニューアルバム「PACIFIC」が2019年8月7日(水)に発売される。テーマは「港街」。世界中の貨物船や人々が行き交う街に生まれたCKBならではのワールドワイドなトラックに、今も未来も、ルーツもぶっ込んだ全18曲を収録する。今回は、石川町にある「ウインドジャマー」に剣さんと訪れ、「PACIFIC」にもあふれる地元愛を語ってもらった!

【写真を見る】石川町にある老舗のジャズバー「ウインドジャマー」を訪れた横⼭剣

――こちらの「ウインドジャマー」にはどのようなゆかりが?

横山 12-3歳のころに父親と初めてきて。ジャズの生演奏をやっているんですよ。内装もオープン当初のままで、帆船をイメージして天井まで木で作ってあって、ここまで徹底した作りってないんですよね。こういうところは、ほとんど無くなっちゃってね。すごく貴重な建物。でも、決して懐かしいではなく、令和だろうが昭和だろうが、「今ある」ということがすごく重要かなと。

――そういう時代を超えるタフさは魅力ですね。CKBは、毎回アルバムに横浜や神奈川などの地元を感じさせるような曲がありますが、ニューアルバム「PACIFIC」ではアルバム全体を通して地元オシです。

横山 そうですね。ここまで前面的なのは珍しいですね。

――意識していたんですか?

横山 曲ができたらかたっぱしからレコーディングしていたんですけど、ほっておいたらそうなっちゃった! それで、久しぶりに海釣り施設のそばにある「横浜港シンボルタワー」から海を見ていたら「あ、パシフィック!」と浮かんで。それでタイトルにしました。

――ジャケット写真も本牧のコンテナですよね?

横山 そうですね。本牧埠頭のコンテナヤードですね。気がついたら横浜の曲ばっかりだったので、「より濃くしちゃおう」と撮影もコンテナのある風景にしたいってなって。以前、コンテナのバン詰めに立ち会う検査員の仕事をしていて、メンバーも港や中華街のあたりで仕事をしていたけど、すっかり灯台下暗し! 当たり前すぎて題材にしなかったコンテナに今更グッと来ちゃったという!

――コンテナって、色合いもカラフルでかっこいいですね。剣さんはどんなお仕事を?

横山 船積み前に、荷物の中身とインボイスをチェックして、問題なければコンテナに積み込んで、蓋をしたあとにシーリングをする仕事だったんですよ。そこから世界に出ていくっていう。自分がチョークかなんかで文字を書いていたコンテナが、久しぶりに「あ、帰って来た!」みたいなこともあったりして。渡り鳥みたいなんですよね。台湾系で「WAN HAI」「EVERGREEN」とか、韓国の「韓進(ハンジン)」とか、シンガポールのAPL(アメリカンプレジデントラインズ)とか、コンテナの会社名やロゴやカラーリングってかっこいいから、子供のころ「パンナム」とか「エールフランス」とか「キャセイ」とか飛行機の写真を撮っていたみたいに、ある時期、コンテナの写真も撮っていました。

――改めて気づいた横浜の魅力は?

横山 当たり前なんですけど「港街なんだな」ってことですよね。インターナショナルな部分や、いろんなミックスカルチャーがある。今、インターネットがあるから、どこにいても情報は得られるんですけど、海を媒介にして生まれるものってあるから、時代に呼応して出てきたようなところがあるんじゃないかな。横浜は開港から続いている空気感があって、いろんな外来文化を受け入れてきた。この160年の歴史は濃いぞっていう。「PACIFIC」なのに「北京」って曲があったり、「南国列車」という台湾の台南的なニュアンスも入ってくるのは、まあ、横浜には中華街があるし、中国や台湾からの貨物船もきますし、しらすの中に小さなエビやタコが混ざっちゃってるみたいな感じで、「だいたい横浜」みたいな感じのアルバムです。

――1曲目の「Night Table」は港街の感じが、波っぽいゆらぎの音にも表現されていますね。

横山 はいはい。そこは、新山下の釣り船の店があるんですけど、あのへんの波の感じというか。ちょっと運河っぽくなっているんですよね。その音のイメージ。あとは、昔、新山下の「ドン・キホーテ」の場所に「バンドホテル」というのがあったんですけど、その部屋のベッドサイドに置いてある、ぶっ壊れたラジオが急に鳴り出すっていう、ちょっとデロリでSFチックなイメージもあります。

――「バンドホテル」は老舗のクラシックホテルだったんですよね。

横山 1929年創業の相当古い歴史的なホテルで、五木ひろしさんの「よこはま・たそがれ」の歌詞もそこのイメージらしいです。自分の記憶があるところでは、最上階に「シェルルーム」というラウンジがあって、子供のころ、僕の実の父親に連れられて行っていました。バンドが出たりしていて、ラテン、ムード、ジャズ、ボサノバとか、子供が聴いてはいけない音楽を聴いたり、ヨーデル歌手であるウィリー沖山さんという人がマスターだったんですが、当然、マスターも歌うんですよ。僕の父親が東横線で母親をナンパしたみたいなんですけど、その後「シェルルーム」に連れていってたらしいです。「Barrio Chino」(「BROWN METALLIC」2004年)という曲の中にも「バンドホテル」が出てくるんですけど、今回のはその続編みたいな感じですね(笑)。

――「Night Table」の歌詞に出てくるVIDEOTAPEMUSICとは、VIDEOTAPEMUSICさんという音楽&映像作家さんの名前もかけていますよね。

横山 VIDEOくんね、すごい人が出てきたなと思って。そしたら向こうもこっちを研究していて。CKBにゆかりのある地をまわったこともあるらしくて。

――CKBの聖地巡礼を!

横山 はい。それは、ceroの高城(晶平)くんから教えてもらったんですけど(笑)。高城くんもお父さんがCKB好きみたいで、かなりマニアックに聴いてくれています。VIDEOくんには昨年横浜アリーナのライブをやった時に映像もお願いしたんですけど、それもすごかったですね。彼の映像にはにじんだような、幻のような……夢と現実の間みたいな感じがあって、それを、「バンドホテル」の廃墟に忍び込んだっていう設定で歌詞に。あ、でも、実際に忍び込んだというよりは、あの界隈を歩いていたらタイムトラベルしたっていう妄想なんです。で、その妄想から摘出したのが冒頭のオリエンタルなメロディのイントロなんです。それで現実に戻ったら「ドン・キホーテ」の前にいたっていう設定ですね。

――また、「南国列車」という曲では、VIDEOTAPEMUISCさんのリミックスも収録されていて、一方でVIDEOTAPEMUISCさん自身のニューアルバム「The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC」には「南国電影」という曲があって剣さんがゲストボーカルで参加していたり。シンクロしていますね。

横山 そーそーそーそー。VIDEOくんから依頼されて、届いたトラックに「南国電影」というタイトルが付いていて。僕もちょうど「南国列車」という曲を考えていた時だったので、「えええーーー!?」って驚きました。不思議なリンクをしています。

――偶然だったんですか?

横山 そーそーそーそー。僕は台南、あるいは海南島(ハイナン島、中国のハワイ)のヤシの葉が揺らめく中をでディーゼル列車が走っている感じをイメージしていたんですけど、VIDEOくんも全く同じイメージだったみたいです。ちょっとハリボテ感のある幻想の南国……本物の南国感じゃなくて、セットだった! みたいな感じにね。そういうのは本物のヤシの木じゃなくてシュロ(ヤシ科の樹木)に感じるんですよね。ノルタルジックをくすぐる植物なんですが、横浜にもそういう感じがいっぱいあって。「南国電影」はまさにそんなイメージでした。僕の「南国列車」のほうは、前作で「棕櫚(シュロ)」という曲を作っちゃってたんで、今回の歌詞では「ヤシ」と言っていますけど、意味的には一緒です(笑)。

(→後編へ続く)

取材協力「ウインドジャマー」

住所:神奈川県横浜市中区山下町215 東楽ビル1・2F 電話:045-662-3966 営業時間:17:00~24:00(LO23:30)、土曜16:00~24:30(LO23:30)、日曜・祝日16:00~23:30(LO23:00)  休み:なし 席数:50席 ※喫煙可 アクセス:JR線石川町駅中華街出口徒歩7分、みなとみらい線元町・中華街駅徒歩10分

【構成・取材・文=古城久美子/撮影=中村力也】(横浜ウォーカー・横浜ウォーカー編集部)

最終更新:8/6(火) 16:00
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