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てんかん治療の最前線 発作検知する装置やスマホ診察

8/8(木) 10:12配信

NIKKEI STYLE

大脳の過剰な興奮などで起きる「てんかん」の症状を改善するための選択肢が広がっている。埋め込み型の電気刺激装置は自動で発作を緩和できるようになり、遠隔地でも専門医にオンラインで主治医以外のセカンドオピニオンを聞ける外来も始まった。100万人いるとされる患者の3割は薬が効きにくい難治性とみられている。日常生活の質を向上させる方法を知っておきたい。
埋め込み型の電気刺激装置は、左胸に埋め込む小さな装置から首付近の迷走神経に電気で刺激を与え、発作の頻度や症状を緩和する。「迷走神経刺激療法」として2010年に保険適用されており、抗てんかん薬で発作を抑えられない患者や開頭手術が困難な患者などが対象になる。
自治医科大病院(栃木県下野市)の川合謙介教授らの調査によると、約360人の患者のうち、治療を始めて3年間で発作頻度が半分以上減った人が6割近くに上った。川合教授は「抗てんかん薬との併用が基本だが、発作が消える患者もいる」と説明する。
装置は近年改良され、利便性が高まっている。発作を検知して電気を流す「オート刺激モード」搭載のタイプが17年に登場したからだ。順天堂大順天堂医院(東京・文京)の菅野秀宣・先任准教授は「急な発作を緩和でき、自分でケアできない子どもの患者らやサポートする家族の負担軽減にもなる」と指摘する。
装置を販売するリヴァノヴァ(東京・千代田)によると、10年以降に国内で埋め込み手術を受けたのは、延べ約1800人。この療法は特に年齢の制限がなく、装置を埋め込む手術のリスクも比較的低いとされる。
同療法は副作用として、首元がぴりぴりとした違和感を覚えることなどがある。ただ東京大病院(東京・文京)の国井尚人特任講師は「大半は時間がたつにつれて緩和される」と話している。
東京医科歯科大や名古屋大などの研究チームは発作の予兆をセンサーが縫い込まれた下着で検知し、スマートフォンで伝えるシステムの開発を進めている。
下着はノースリーブ型で、胸部のセンサーが発作前の心拍のリズムの乱れから予兆を検知。情報をスマホのアプリに送り、アラーム音などで知らせて利用者が発作を予測する。
研究チームによると、臨床研究では早いケースで発作13分前から予兆を検知できたという。研究メンバーの宮島美穂・東京医科歯科大助教は「手術が不要で患者の身体的負担もない。発作を予測できれば、意識を失った場合のけがなどを防げる。生活の質を高めることにつながれば」と話している。
東北大病院(仙台市)は5月から、てんかん専門医によるオンラインのセカンドオピニオン外来を始めた。スマホなどの画面を通じて、同病院てんかん科の中里信和教授の診察を受けられる。中里教授は症状を聞き取り、薬の見直しといったアドバイスは主治医にも報告する。
保険は適用されないため、1回あたりの費用は4万3200円かかる。中里教授は「周囲に専門医がいない地域の患者は、適切な治療を受けられていないことがある。専門医を頼るにも移動が大変な患者も少なくない」と話す。
7月に北海道の自宅で診察を受けた男性(41)は「専門医に話を聞いたことがなかった。服薬中の薬は肝臓の負担になるリスクがあることが分かった。主治医に連絡してもらった薬を試すことになりそうだ」と話している。
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最終更新:8/8(木) 12:17
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