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米国で農業の毒性が48倍に、『沈黙の春』再び? 研究

8/8(木) 19:29配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

ネオニコチノイド系殺虫剤で昆虫に大きな被害

 ミツバチをはじめとする昆虫にとって、米国の農業環境は25年前に比べて48倍も毒性が高いとする研究成果が、学術誌「PLOS One」に8月6日付けで掲載された。最大の原因は、いわゆるネオニコチノイド系殺虫剤が広く使用されていることだという。

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 毒性の大幅な上昇は、ハチ、チョウ、鳥などの花粉媒介者たちが急減したタイミングと一致していると話すのは、論文の共著者で、環境保護団体「フレンズ・オブ・ジ・アースUS」の上級科学者ケンドラ・クライン氏だ。

「第2の『沈黙の春』です。ネオニコチノイドは新たなDDTのようなものですが、ハチに対してはDDTの1000倍も有毒です」。クライン氏は、インタビューでこう語った。

 今回の研究に携わったのは、クライン氏のほか3つの機関の研究者たち。「ミツバチに対する毒性」「殺虫剤が毒性を保つ期間」「年間使用量」を、新たな方法で測定したところ、農業が昆虫にとってきわめて有毒になったことがわかった。

 毒性上昇の原因の92%はネオニコチノイドにあった。「ネオニコチノイドはミツバチにとって猛毒というだけでなく、環境の中で1000日以上も毒性を保つことがあります」とクライン氏。

「幸いなのは、ネオニコチノイドは必須ではないということです」とクライン氏は続けた。「40年にわたる研究から、農業生態学(アグロエコロジー)に基づいた農法を用いれば、花粉媒介者を大量に減らすことなく作物を育てられるという根拠が得られています」

「今回の研究は、有毒なネオニコチノイドが環境に蓄積されることを明らかにした点で素晴らしい。昆虫の個体数が減り続けている理由も説明できます」と、アメリカ鳥類保護協会のスティーブ・ホーマー氏は話す。

 昆虫が減るにつれて、昆虫を食べる鳥の数もここ数十年で激減している。しかも、その影響はほとんどあらゆる種の鳥に及んでいるとホーマー氏。「どんな鳥も、ライフサイクルのどこかで昆虫を食べなくてはなりませんから」

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