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終末期の高齢患者を支える「在宅医療」というアプローチ

8/8(木) 12:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

超高齢化社会を迎えるなか、終末期を迎えた患者を支え、寄り添うケアが求められています。公的制度を活用し、患者と家族が暮らす家に医師を中心とした支援チームが入る総合的なサポートを行うことで、満足度の高い「在宅医療」が実現できます。本記事では、医師が在宅医療という制度を通じて患者とその家族を支える意義と、その方法を解説します。

在宅医療での看護が適している病気は多い

疾患によって、適する医療の形態は異なります。在宅医療が適している疾患は多々ありますが、なかでも私が専門とする神経内科的な難病の多くは、在宅医療を選択することで患者により良い暮らしを提供できると感じています。

難病については、1972年に施行された難病対策要綱において、次のように定義されています。

(1)原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病

(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病

国内では2018年4月時点で331の疾病を公的な医療助成を受けられる指定難病としており、その中には私が専門とする神経内科系の病気が多数含まれます。そのため、私は開業当初から多くの神経難病の患者に在宅医療を提供してきました。近隣に神経内科の診療所がほとんどなかったため、勤務医時代に診療していた患者を含め、神経難病の患者が通院困難になるたび、在宅医療に切り替えざるを得なかったのです。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、パーキンソン病、筋ジストロフィー等、多様な疾患を扱う中で、難病治療における在宅医療ならではの特性に気づくことができました。

難病には前述の定義にも示されているとおり、治療方法が確立されておらず、経過が慢性にわたるという特徴があります。一度発病すると、その後の人生の大半が療養に費やされるケースが多く、大半は経年とともに進行します。そのため、患者は肉体的、精神的に消耗して生きる希望を失い、家族もまた終わりの見えない介護に疲弊しがちです。

つまり難病患者を担当する医師には、単に患者に医療を提供するだけでなく、長きにわたる療養生活全般をどのようにして支えるのかという視点を持って対応することが求められます。患者の病状を的確に把握して、適切な治療を行うのが医師の基本業務ですが、それだけでは患者や家族の問題はほとんど軽減されません。外来診療で、一回当たり数分、患者と接し、処方を確認するだけという診療では患者と家族を支えることは不可能です。

彼らを支援するためには、患者と家族が暮らす家に医師を中心とした支援チームが入り込み、さまざまなサポートを総合的に提供することが欠かせません。生活に寄り添う医療と介護があって初めて、難病患者や家族は尊厳と幸福感のある暮らしを送れるようになります。それが提供できるのは在宅医療だけなのです。

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最終更新:8/8(木) 12:00
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