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相模原障害者殺傷事件から3年。障害者の東大生が語る”私たちがすべきこと”

8/8(木) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

枠組みで考えてしまう私たち。 植松をもう一度育てなおさなければならない私たち

 先述したように、実在的な世界とは自分のコントロールがきかない世界。この世界こそが、多様性の社会だと話す。そこには無限の「色」が落ちており、それこそが多様性だと愼さんは話す。

「自分が囚われている思考の枠組みが社会によって崩されたときに、世界の色を知ることができる。世界に飛び込むことこそが、多様性を知ることなんだよ。なのにその本質をいま見失っている気がする」

 愼さんが話すには、外に飛び出すことで初めて、人は多様性を理解できるとのこと。私達は、特にマイノリティ側にいる人のことを、この人は「ゲイだ。レズビアンだ」などといった”決められた枠組み”に当てはめてしまう。多様性を理解しようとしているのに、これでは本末転倒となる。固定されてしまう枠組みの中で、物事を考えることは、自動的に「世界へ足を踏み出すこと」を拒絶してることになる。

 最後に愼さんは、「この事件を死刑で終わらせてはダメ。植松被告を育てなおし、乗り越えなくてはならない」と話した。この問題を差別以外の別の観点から切り込んだりして、問題を一から捉えなおしたりしなければならないのだ。

「植松被告は間違いなく死刑。だけど彼の思想と向き合い、もう一度植松を私たちで赦し育てなおそう。死刑で終わりではダメなんだ。向き合わなければだめ。差別の一言で、優生思想の一言で終わらせてしまうな」

 この件もそうだ。私たちは植松被告を「優生思想」や「ヒトラー」といった枠組みで考えてしまっている。だからこそ、愼さんは「植松被告の主張の背景に目を向けろ」と訴えているのだ。

「”良くも悪くも”今の社会は、不寛容すぎる。最近物騒な事件が多いよね。引きこもりの件とか。大人だって引きこもりたいと思う時もある。その時に、まだ終わりではないよと言える世界を作らなければならない。もし赦しからスタートできないのならば、これ以上言うことはない」

<取材・文/板垣聡旨>

【板垣聡旨】
学生時代から取材活動を行い、ライター歴は5年目に突入。新卒1年目でフリーランスのライターをしている24歳。ミレニアル世代の社会問題に興味を持ち、新興メディアからオールドメディアといった幅広い媒体に、記事の寄稿・取材協力を行っている。

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最終更新:8/8(木) 12:40
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