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相模原障害者殺傷事件から3年。障害者の東大生が語る”私たちがすべきこと”

8/8(木) 8:33配信

HARBOR BUSINESS Online

 2016年7月26日、相模原市にある障害者施設「津久井やまゆり園」にて入所者19人が元職員の植松聖被告によって殺害された。また職員を含む、27人が負傷。

⇒【画像】2019年7月26日、津久井やまゆり園には、多くの花が献花されていた

 3年を迎える2019年7月26日、津久井やまゆり園には、多くの花が献花されていた。その様子の写真を撮ると自然と涙がこぼれる。

 相模原障害者殺傷事件から3年を向かえるにあたって、「この問題はどこにあるのだろうか」とずっと問い続けてきた学生時代を思い出す。当時重度障害者の自立生活支援をしていた。

 活動で知り合った障害を持つ一人の東大生を思い出し、連絡を取った。「いつでもウチへおいでよ」の一言で了承を得て、取材を行った。

「優生思想」に気を取られ続け、”植松”自身と向き合わなかった社会

 取材を引き受けていただいたのは、東京大学文学部哲学科4年の愼允翼(しん・ゆに)さん(22歳)。愼さんは、10万人に1~2人が発症する脊髄性筋萎縮症(通称:SMA)全身の筋力が弱まるといった障害を抱えており、24時間の介助を必要としている。もちろん自分の力で歩くことはできなく、ストレッチャーでの移動だ。

 愼さんは特別支援学校には行かず、高校まで健常者と同じ学校、同じクラスで過ごし、2016年に東大に推薦合格。今現在、西洋哲学を専攻している大学生だ。相模原障害者殺傷事件に対して言葉のトーンを強めて話す。

「植松の『なんで障害者を生かさなくてはいけないのか』という問いを誰も掘り下げて考えようとしなかった。彼の問いは抹殺されたんだ。『優生思想』というものは、そもそも『思想』に値しないのではないか。それなのに植松の考えに『優生思想』というレッテルを貼って済まそうとしてしまっていたよね。植松の主張が、どのような根拠により、どのような人格から成される主張なのか。検討と対話をしてこなかった」

 愼さんは、私たちが植松被告と対話をしなかった点を指摘する。事件発生後、多くのメディアに取り上げられ、世間を騒がせた。平成で最悪の事件と謳われ、多くの人が怒りを露わにした。

 しかし愼さんは「被害者でも、遺族でもない我々が被疑者に対して怒るのはお門違いだ」と話す。私たちがすべきことは、「被疑者を恨むのではなく、なぜこの事件が起きたかを考えること」だという。

 それなのに、怒りに駆られ、植松被告の考えを「優生思想」と名指して済ませようとしてしまった私たち。この点が問題だと愼さんは話す。

「彼の思想はヒトラーと言われているが、彼はヒトラーではない。類似しているにすぎないもの。ヒトラーの思想や優生思想といった枠組みに当てはめて理解した気になってはいけない。彼の主張を支えているロジックと人格に対して目を向ける必要がある」

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最終更新:8/8(木) 12:40
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