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串カツ田中が5カ月連続前年割れの変調、全面禁煙が招いた2つの難題

8/8(木) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 串カツに特化した居酒屋チェーン「串カツ田中」が変調だ。既存店売上高が5ヵ月連続で前年割れ。2018年6月に全面禁煙に踏み切りファミリー層の獲得を狙ったものの、サラリーマン層の客離れを招き、客単価が低下。禁煙の反動が現れ始めている。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

● 7月の既存店は前年比95.9%

 とある土曜日の夜、東京都内の居酒屋チェーン「串カツ田中」の店内は家族連れで賑わっていた。子供たちが美味しそうに串カツを頬張る光景を、店外に出た父親がどことなく寂しそうにタバコを吸いながら眺めていた。

 業界に先駆けて、串カツ田中が全面禁煙に踏み切ったのは、2018年6月のことだ。当初は業績を不安視する声もあったが、一見好調を維持しているようにも見える。

 19年11月期の第2四半期決算では、売上高が約46.8億円、経常利益は約3.8億円といずれも前年同期比で約4割増の増収増益となった。

 ところが、全面禁煙から1年が過ぎ、懸念材料が出始めている。それは、外食産業の店舗の健康状態を示す“体温計” ともいわれる既存店売上高の落ち込みだ。

 8月6日に発表された19年7月の既存店売上高は前年同期比で95.9%。 3月以降、5ヵ月連続で100%を下回ってしまったのだ。

 こうした状況について、串カツ田中ホールディングスの坂本壽男経営戦略部長は、「メディア露出による反動減だ」と主張しているが、串カツ田中でここまで前年割れが続いた事態は初めてで、先行き不安は否めない。

 既存店売上高の落ち込みの要因を見ていくと、7月の既存店客数は同99.7%となんとか前年並みを維持しているものの、客単価は同96.1%と大幅に落ち込んだ。

● 禁煙でサラリーマン客が敬遠 客単価が2400円→2200円に

 全面禁煙に踏み切ったことで、串カツ田中は今、2つの難題に直面している。

 1つ目は、「サラリーマン客離れ」である。

 全面禁煙の導入は愛煙家にとっては困った問題で、サラリーマンを中心に敬遠されてしまった。特に、平日のサラリーマン客は、全面禁煙の導入前と比べて10%減となっている。

 メディア露出の効果でファミリー層は増え、土日の客層が増加したものの、「全体的な客層がファミリー寄りになりすぎた」(坂本経営戦略部長)というのだ。

 その反動で生じた2つ目の難題が、「客単価の減少」である。全面禁煙導入までの客単価は2400円台だったが、直近では2200円前後まで落ち込んでしまった。

 サラリーマン客と比較して、家族連れの客は単価の高いアルコールの消費量が少ない。このことが客単価の減少を引き起こしているのだ。

 この2つの難題を解決しなければ、既存店売上高の回復は難しい。

 現状を打開するために、串カツ田中はサラリーマン客の回帰に焦点を当てたキャンペーンを7月から始めた。

 2個のサイコロを振って出た目の数に応じて、人気のサワーが無料や半額になる「チンチロリンサワー」。1枚500円で「田中で飲みpass」を購入し、提示すると1ヵ月間ドリンクが199円となるなど、サラリーマンが足を運びたくなるような施策を次々に打ち出している。

 10月の消費増税に伴い、軽減税率の対象外となる外食業界は落ち込みが予想されている。また、2020年4月の改正健康増進法の施行で、多くの飲食店が受動喫煙対策を求められ、全面禁煙という施策は差別化の要因にならなくなる。

 業界に先駆けた全面禁煙は、吉と出るか凶と出るか。串カツ田中が、「正念場」を迎えている。

ダイヤモンド編集部/山本興陽

最終更新:8/8(木) 9:30
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