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小説家・京極夏彦の整理と魔術、そして「今昔百鬼拾遺シリーズ」を貫くテーマとは?――担当者3名が語る

8/8(木) 6:00配信

Book Bang

出版界に衝撃を与えた『姑獲鳥の夏』から始まる、京極夏彦さんの「百鬼夜行シリーズ」。そのスピンオフ的な位置づけとなる「今昔百鬼拾遺シリーズ」3作が、2019年4月より、講談社タイガ、角川文庫、新潮文庫と、3つのレーベルから3カ月連続で刊行された。異例の刊行形態と各巻の内容、そして小説家・京極夏彦について、各出版社で作品を担当した編集者が語り合う。

新潮社 文庫出版部 新潮文庫編集部・青木大輔
KADOKAWA 文芸局 文芸図書編集部・岡田博幸
講談社 講談社文庫出版部・栗城浩美(50音順)

青木(『天狗』担当) 『今昔百鬼拾遺 鬼』(講談社タイガ)、『今昔百鬼拾遺 河童』(角川文庫)、『今昔百鬼拾遺 天狗』(新潮文庫)。「今昔百鬼拾遺シリーズ」3作が店頭に並びました。

岡田(『河童』担当) 1社での連続刊行はあっても、同一シリーズを3社で刊行するケースはなかなかないですよね。

青木 せっかくの機会なので、今回は、3部作そして京極作品について、担当者3人で語りあってみよう、と。

栗城(『鬼』担当) 昨年、3社共同の「三京祭」という企画がありまして、『鉄鼠の檻 ハードカバー版』(講談社)、『ヒトごろし』(新潮社)、『虚談』(KADOKAWA)の全巻購入特典として、『鬼』が誕生したのですね。そもそも特典として小説を想定していませんでしたが、岡田さんが「読者が一番喜ぶのは小説じゃないですかねえ」とさらっとおっしゃって。

岡田 はい。言っちゃいましたね。

栗城 その時点では「特設サイト限定で読める短編小説」という話だったと思うのですが。

岡田 80枚くらいの短編のイメージでした。どなたからの提案だったか、やがて「3作にリンクした小説を書いていただきたい」という流れになり――。

栗城 どなたからでしたでしょう? 京極さんも「全作品に関係してたほうが公平でしょう」とすぐにおっしゃってくださったような──。

青木 まさか! 私はその打ち合わせに同席してなかったのですが、早くも成立の経緯が歴史の闇に消えている(笑)。

岡田 経緯はともかく、依頼を受けていただき、やがてそれが『鬼』のウェブでの連載と繋がったのですが、思い起こせば暴挙ですよね(笑)。

青木 暴挙(笑)。

岡田 そして『鬼』を礎として『河童』『天狗』が生まれたわけですが――。

青木 長くなってしまうので、以降の話は割愛しましょうか。3作品すべてのデザインを担って頂いた坂野公一さんとwelle designの皆さんには多大なご苦労をおかけしました。完成した後に「楽しかった」とおっしゃって頂きましたけど。談合したのは帯のボディコピーのスタイルくらいですよね。

栗城 断じて、談合ではない(笑)。

青木 「帯コピーの土台だけは揃えましょう」と主張しました。あまりに文字数が違うと坂野さんが困るから。でも、メインのコピーはバラバラ。
「鬼の因縁で斬り殺される血筋の呪い――?」『今昔百鬼拾遺 鬼』(講談社タイガ)
「奇怪な連続水死事件」『今昔百鬼拾遺 河童』(角川文庫)
「天狗攫いか――巡る因果か。彼女が姿を消した、夏。」『今昔百鬼拾遺 天狗』(新潮文庫)。
 作品が違うし、それぞれの芸風も異なるし。『天狗』のメイン・コピーは『姑獲鳥の夏』へのオマージュなんだけど、京極さんには評価してもらえなかった(笑)。

岡田 そうだったんですか(帯を見直す)。

栗城 全然、気づいてませんでした(笑)。

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最終更新:8/8(木) 11:18
Book Bang

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