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ジャズ作曲家・挾間美帆のクラシック遍歴(前編)

8/9(金) 10:00配信

otocoto

挾間美帆はクラシックを学び、そこからジャズに行って、ジャズ作曲家になった。NYを拠点に活動し、4枚のアルバムを出した。近年はヨーロッパでの活動も増え、オランダのメトロポール・オーケストラやドイツのWDRビッグバンドといった名門とも仕事をし、今年、デンマークのダニッシュ・レディオ・ビッグバンドの首席指揮者に就任することが発表された。まさに今、世界の最前線にいるジャズ作曲家なのだ。

また、挾間美帆はジャズシーンに身を置きながら、吹奏楽やオーケストラにも取り組んでいる。吹奏楽団のシエナ・ウィンド・オーケストラのコンポーザー・イン・レジデンスを務めたり、今年の8月には東京フィルハーモニー交響楽団ともコラボレーションする。近年はますますジャズとかクラシックといった境界を感じさせない活動が目立っている。

――今回はクラシックの話を聞きにきました。挾間さんのクラシック遍歴を教えてもらうことで、クラシックやオーケストラの音楽を知るための入り口を作れないかなと。まずはクラシックとの出会いから聞かせてもらえますか?

物心つくかつかない頃からクラシックを、特にオーケストラの音楽はよく聴いてきました。自分の音楽に関する表現力の幅はそこから得ていると思っています。というのもクラシック音楽ってオペラを除いてはほとんど歌詞がないんです。歌詞はないけれども、バレエとか、シンフォニーとかになると、それなりのボリュームのある音楽なので起承転結がなければ聴いていられない。なので、それなりにドラマチックだったりするんですね。

子供のころの私は単純だったので、いつまで経っても解決しない音楽は嫌いだったんです。そういう意味では(リヒャルト・)ワーグナーや(アントン・)ブルックナーからは完全に遠ざかっていましたし、(グスタフ・)マーラーは長い音楽だなと思ってました。でも、例えば、(アラム・)ハチャトリアンの組曲「ガイーヌ」とか、「ロミオとジュリエット」でも(ピョートル・)チャイコフスキーではなく、(セルゲイ・)プロコフィエフのものはバレエ音楽だったこともあって曲が細かく分かれていて、キャラクターにあった曲をうまく組み合わせている感じが好きでした。もともとはロシア系やフランス系の19世紀末~20世紀の音楽ぐらいからが好みでずっと聴いてきたんですけど、チャイコフスキーに関してはシンフォニーではなくて、ストーリーがはっきりしている「1812年」などの作品が好きでした。すごく素直な子供だったんです。

そういった音楽に母親がナレーション的に物語を勝手につけてくれたりしてたんです。「これはこんな気持ちなんだろうね」とか「この「韃靼人の踊り」(ポロディン作曲)っていうのはどんな踊なんだろうね?」とか。そのうち、自分でも勝手に妄想して、ストーリーをつけたりするようになったんです。プロコフィエフの「ピーターと狼」のようにに初めから語りがついていると、明確にイメージは出来なのですが、単純に怖いものが苦手でオオカミが出てきた時点で本当に怖がってしまうような子供だったので、自分で勝手にストーリーをつけられるほうが良かったんです。

プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」のバレエ自体は見たことがなかったですし、チャイコフスキーの「1812年」に関する絵も見たことがなかったけど、曲の歴史的背景を教えてもらって、そこに自分の妄想を加えて、クラシックのシンフォニーの音楽に合うドラマチックなストーリーを作りあげる遊びをしていたことが、自分の表現力の幅みたいなものを養ってきた気がしますし、そういう遊びができるドラマチックさをすべての音楽に求めていた気がしますね。

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最終更新:8/9(金) 10:00
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