ここから本文です

手紙の味わい豊かにする「薬味」 : 切手デザイナー玉木明さん

8/9(金) 15:03配信

nippon.com

帰宅してポストの中に懐かしい友人の手書きの文字を見つけると、ポッと心に灯がともるような温かい気持ちになる。メールやSNSの普及で手紙を書く機会はめっきり減ったが、手紙にはデジタルなコミュニケーションとは異なる効用があるという。日本に8人しかいない切手デザイナーの1人、玉木明さんにお話しを聞いた。

「職人の技が詰まった美しい和菓子」「歌舞伎の名場面」「東京五輪・パラリンピックのエンブレム」「明治期の東京や横浜を鮮やかに描き出した錦絵」「G20大阪サミット」――なんの脈絡もないように思えるが、これら全てが日本郵便の発行する記念切手の図柄なのだ。

わずか3センチ四方ほどの紙片に、「これぞニッポン!」をぎゅっと凝縮して表現するのが、日本にたった8人しかいない希少職種である「切手デザイナー」だ。日本郵便の切手発行計画によると、2019年度は47回の特殊記念切手の発行が予定されている。1シート10枚つづりの切手が全て異なるデザインであることが多いので、1人のデザイナーが受け持つ仕事も相当量に上る。日々、どのような思いを込めて切手をデザインしているのか、主任切手デザイナーの玉木明さんに話を聞いた。

切手デザイナーという仕事を選んだ理由は?

民営化前の郵政省に就職したのは1991年。美大生にありがちな、グラフィックデザインや広告系の華やかな仕事に就くつもりでしたが、師事していた先生から「募集があるから受けてみない?」と勧められて、受験したら受かっちゃいました。特に切手に興味があったわけではないので、「つまらなかったらやめればいいか」と思っていました。

万国郵便連合(UPU)の加盟国間で発行した切手を交換し合うのですが、それを整理するのは若手の仕事。年に何度かまとまって届くものを分類しながら見ていると、この小さなサイズにも無限の世界があるのだということに気付きました。日本が秀でている分野もあるけれど、デザインや色使いでは欧州のレベルには遠く及ばないと感じた。だからこそ、日本の切手にも新しいチャレンジをする余地があるなと、仕事の面白さにはまっていきました。

1/3ページ

最終更新:8/9(金) 15:22
nippon.com

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事