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東京五輪・パラまで1年 「補助犬」が熱中症になる危険性はない? 応急処置の方法は?

8/9(金) 8:10配信

オトナンサー

 2020年夏の東京五輪・パラリンピックまで、あと1年。選手や観客の熱中症対策が注目されていますが、パラリンピックを中心に盲導犬や介助犬など「補助犬」も多く活動することが想定され、犬の熱中症の懸念もあります。五輪・パラリンピックにおける補助犬の熱中症対策や犬の熱中症を見分ける方法について、成城こばやし動物病院院長で東京都獣医師会副会長の小林元郎さんに聞きました。

初期は激しい呼吸や大量のよだれ

Q.まず、犬の熱中症について教えてください。

小林さん「ヒトと同じく、脱水して体温が上がることで、体の中のタンパク質などが壊されて健康障害が発生します。ヒトと違い、犬は汗をかくことができませんし、体が毛に覆われており、体温が上がってしまうとなかなか下げられません。熱中症の初期は、激しい呼吸、大量のよだれ、歯肉や舌、結膜などが充血、うっ血するなどの症状が見られます。

中でも、激しくハアハアと息をしていた場合、熱中症にかかっている確率が高いです。重症化すると、ぐったりしたり、下痢や嘔吐(おうと)、ふるえ、けいれん、呼吸困難などの症状が出たりします。少しでも異常を感じたら、速やかに動物病院か救急対応病院へ連れて行ってください」

Q.東京五輪まで、1年を切りました。パラリンピックも含め、大会期間中は盲導犬や介助犬、聴導犬といった補助犬が活動することも考えられます。

小林さん「五輪期間中はとても暑いため、パラリンピックの選手や関係者に帯同する補助犬など犬たちの健康管理や、補助犬を連れた一般の人の移動や観戦について心配しています。パラリンピックの選手団には医師がつき、選手の競技中は関係者が犬のケアを行うと考えられますが、問題は補助犬を連れた一般の人のケースです。

一般的に、最寄り駅またはバスターミナルから競技場までの間はそれなりに距離が離れています。私は以前、平昌パラリンピックの視察に行きましたが、その際、会場に到着するまで1キロは歩いたと思います。また、補助犬を連れた人が屋外競技を観戦する場合、犬が疲労し、熱中症になるケースも想定されます」

Q.補助犬を連れた人が競技会場まで安全に移動したり、観戦したりする方法は。

小林さん「東京都獣医師会は、東京五輪・パラリンピックの組織委員会から補助犬のケアなどについて協力要請を受けていますが、日中に補助犬を連れて移動することは、医学的観点から避けた方がいいと提言しました。炎天下の中、補助犬と共に移動するのは、吹雪の雪山に登るのと同じぐらい危険です。この問題については、東京都獣医師会と組織委員会が話し合いを始めたところで、今後、具体的な内容が決まるかと思います」

Q. 大会期間中に活動する補助犬の頭数は。そのうち、海外から来る補助犬の数は。

小林さん「現時点では未定です。今のところ、イギリスが補助犬を派遣すると申し出ています。恐らく1~2匹だと。ただ、日本は狂犬病清浄国なので検疫が厳しいです。そのため、海外から動物を連れてくる場合、審査に最低半年はかかります。選手の選考は大会の2~3カ月前に行われる場合もあるので、選手の中で実際に犬を連れてくる人がどれだけいるのか分からない部分もあります。また、補助犬を連れて来日する一般の人がどれだけいるのかも分かりません」

Q.今後、どのような対策を行っていく予定ですか。

小林さん「現在、東京都獣医師会、東京都医師会、日本補助犬協会の3者で、大会期間中に補助犬ユーザーと補助犬がともに無事に過ごすためのガイドラインを作成中です。例えば、補助犬を連れた人が宿泊先に戻った際に、体調を崩して救急搬送される場合が想定されます。その際、補助犬はどうすべきか、反対に、補助犬が体調を崩した場合はどう対応すべきかなどを定めていく予定です。

都内で4月、高齢女性が救急車で搬送される際に、視覚障害を持つ家族の人が盲導犬同伴で同乗を求めたところ、拒否される事案がありました。このガイドラインは五輪・パラリンピックに限らず、今後さまざまな場面で応用されると思います」

Q.大会期間中は多くの補助犬が活動すると思われます。一般の犬も含め、熱中症が疑われるのにすぐ病院へ連れて行けない場合、どのような応急処置をすればいいでしょうか。

小林さん「とにかく体を冷やしてください。『体に水をかける』『水で濡らしたタオルで包む』『涼しい場所で風を送る』などをするとよいでしょう。特に、頸(けい)動脈の辺り(喉から首にかけて)、わきの下(前脚の付け根の内側)、そけい部(後ろ脚の付け根の内側)を冷やすと効果的です。ただ、急激に冷やしすぎると、臓器などに負担がかかるので、水は必ず常温のものを使用してください」

Q.犬を連れて屋外を移動する際の注意点は。

小林さん「涼しい時間帯を選びましょう。人の体感温度が約30度の場合、アスファルトの熱さは約55度だといわれます。犬は素足のまま地面に接しているので、なおさら熱く感じます。移動する際は、犬用の靴を履かせるなど足裏を保護することも忘れずに」

オトナンサー編集部

最終更新:8/9(金) 8:10
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