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南シナ海に米空母が展開できなくなる日は近い

8/9(金) 6:00配信

JBpress

 南シナ海は、世界の海上輸送量の3分の1が通過する海域であり、戦略的に重要な位置を占めている。

 中国は、南シナ海における航行および上空飛行の自由は確保されていると主張している。現実には、中国が本土および南シナ海人工島を起点とする濃密な監視網を構築している。

 南シナ海における海洋状況認識(Maritime Domain Awareness: MDA)能力は、中国に地理的優位性があると言える。

 また、秘密のベールにつつまれているが、中国は海中における状況認識の構築も進めているであろう。

 中国海事局は、6月29日から7月4日までの間、南シナ海において航行禁止海域が設定されたと伝えた。米国国防省は、この海域に中国が対艦弾道ミサイル6発の連続発射(サルボー発射)を実施したことを明らかにした。

 対艦弾道ミサイルについては、その能力を過大に評価し「ゲームチェンジャー」とするものから、「絵に描いた餅」と過小評価するものまで、その見方は幅広く存在する。

 過小評価する根拠として指摘されているのは、広大な洋上を行動する艦艇の正確な位置を把握し、それを継続追尾することが現在のテクノロジーでも困難であることである。

 しかしながら、宇宙や電磁波、さらには無人機といった新たなプラットホームを利用した手段が充実するにつれ、複数の手段を融合した海洋監視能力が向上してきたことも考えなければならない。

 以下、中国はなぜ南シナ海で対艦弾道ミサイルの発射実験を行ったのか、なぜ6発を連続発射したのかについて考察し、中国の狙いを明らかにする。

 そして、南シナ海での中国の動きに対し、牽制策についての一案を述べる。

■ 1.対艦弾道ミサイルを移動目標に命中させられるのか、そのポイントは

 弾道ミサイルは通常、短時間で地上の固定重要目標を破壊することを目的とする。そのため、事前に設定されたとおりに飛翔する慣性誘導方式であり、飛翔中は無誘導である。

 一方、対艦弾道ミサイルは、地上の固定目標ではなく、海上の移動目標を狙う。従って、発射シークエンスの各段階で次に留意する必要がある。

 「発射諸元入力時」

 目標艦の現在位置および目標の移動の方向と距離から、弾着時の艦の未来位置を予測し、その位置座標を入力する。

 「発射当初」

 ミサイルの飛翔状況を確認して、ミサイルの弾着予想と目標位置とのずれを確認する。

 「軌道修正時」

 ミサイルが最高到達点到達後、弾着時の目標艦の予想位置を再計算し、軌道を修正する。

 「最終誘導時」

 通常の弾道ミサイルは、高速で飛翔するため弾頭部にシーカー(赤外線誘導)は装備されていない。

 だが、中国の対艦弾道ミサイルには、弾頭を確実に目標に命中させるため、弾頭部に巡航ミサイルと同様のシーカーが装備されているとみられている。

 しかしながら高速で飛翔するため、大きな軌道修正ができないことから、各段階において目標の正確な位置を把握し、弾着時の未来予測位置を正確に算定することが重要であることに変わりはない。

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最終更新:8/9(金) 13:45
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