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相次ぐ高額医薬品、国民皆保険制度は維持できるか

8/9(金) 7:00配信

日経ビジネス

 発売当初は年間で約3500万円の費用がかかったオプジーボや、2019年5月に承認された1回投与で3349万円のキムリアなど、高額な医薬品の登場が相次いでいる。気になるのは医療保険財政への影響だ。日本が世界に誇る国民皆保険制度は、このまま維持できるのか。


 このまま高額医薬品が増え続ければ、医療保険財政は破綻するのではないか――。オプジーボの登場以降、こうした議論が盛んに繰り広げられるようになった。財務省秘書課長の吉野維一郎氏(取材時の肩書は主計局主計官、厚生労働係第一担当)も「こうした高額医薬品が次々と出てくるようになれば、それなりに医療保険財政への影響はある」とみる。

 医療保険財政が圧迫されれば、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入し、お互いの医療費を支え合う「国民皆保険制度」も揺らぎかねない。では、どう財政への影響を最小限にするか。現状は医薬品の公定価格(薬価)を下げる「薬価下げ」に頼っているが、これ以外にも財政負担を軽減するための手立てが検討されている。

 代表的な例が、医療費の自己負担割合の見直しだ。現状では、病院や薬局で処方される医療用医薬品は原則3割負担で、75歳以上は1割負担となっている。

 この負担率を、病気の重さによって変動させようという案がある。例えばドラッグストアなどでも購入できる一般用医薬品(OTC)があるなら、患者の負担額を引き上げるべきだという考え方だ。

 湿布薬や鼻炎薬などのOTCには、医療用医薬品と同じ成分のものも多い。ところが、現状ではドラッグストアなどで市販薬を買うよりも、医師に処方してもらった方が患者が負担する金額は数分の1程度まで抑えられる。金銭的なメリットから気軽に病院に通う患者が少なくないが、負担率を上げれば、一定の歯止めをかけることができる。外来の診察料に定額負担を求めることで、割安な薬を求めて病院に足を運ぶ患者を減らす考え方もある。

 財務省の吉野氏は「一般用医薬品がある薬は、保険でカバーするかどうかまで踏み込んでもよいのではないか。単価は小さいものの、合計すれば全体の薬剤費は決して小さくない」と話す。法政大学で財政学を専門とする小黒一正教授も、「市場規模が大きく、患者が負担する費用が小さいものから自己負担率を上げるといった見直しをすべきだ」と指摘する。

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最終更新:8/9(金) 7:00
日経ビジネス

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