ここから本文です

フィアットのお膝元にある世界屈指の自動車博物館──第7回 トリノ国立自動車博物館

8/10(土) 8:11配信

GQ JAPAN

趣向を凝らしたインスタレーション

自動車愛好家にとっては、貴重なクルマを見ることができればそれで大満足だと思うが、パートナーや子供連れの場合、ただクルマが展示されているだけではすぐに飽きてしまうだろう。この点、国立自動車博物館はクルマにそれほど関心のない人でも興味がそそられる展示方法となっているのがポイントだ。

展示車両はもちろん静止した状態であるが、背景の写真などの演出でスピード感を表現したり、生産された頃の時代背景を取り込んだりすることで、クルマ文化を担う一端として見せているのはさすがである。また、展示テーマも細かく別れており、それぞれが映像や写真、小物などで趣向を凝らしたお洒落なインスタレーションとなっている。

もちろん、展示車両を鑑賞するだけでもボリュームのある博物館であるが、この博物館は自動車を歴史や産業、デザインなどあらゆる面から捉えている点が特徴となっている。エンジンやタイヤ(車輪)といった自動車には欠くことのできない部品が進化してきた過程、自動車史に燦然と輝くデザイナーたちの功績などもひと通り学ぶことができる展示も魅力的なので、この点に注意して鑑賞すると実車を見るだけでない違った楽しみ方ができるだろう。

自動車史に思いを馳せるコレクション

国立博物館に所蔵されているコレクションは、10カ国の80にも及ぶブランドのクルマたちおよそ200台である。博物館の地下はガレージとなっており、常設展示車両は何年かかけて入れ替える仕組みとなっている。そのため、必ず出会えるという保証はないが、ぜひ見ておきたい車両をご紹介しよう。

まず見ておきたいのは、1769年に作られた世界初の自動車と言われる3輪蒸気機関車の7/10スケールの複製。2気筒エンジンはボイラーによって蒸気が供給される仕組み。オリジナルはパリの国立美術工芸学校に保存されている。最高時速は4km/h。

次に見ておきたいのは、1954年にフィアットが発表した実験用ガスタービンエンジンを搭載した試作機、フィアットMOD.TURBINAだ。風洞を使って優れた空力性能を実証し、最高速度は250km/h。実際のテストはトリノのカゼル空港滑走路で行われた。

ピニンファリーナがコーチビルドした1948年製のチシタリア202は必見。フロント両サイドのフェンダーに穿たれた円形のサイドベントを見ても分かるように、デザインはビニャーレが担当したと言われている。ニューヨーク近代美術館に永久展示されているチシタリア202は、戦後のクルマのデザインに最も影響を与えた1台である。

2階のインスタレーションで、圧巻なのがフォーミュラのコーナーだ。1900年代初頭から2000年代までの、およそ100年に及ぶフォーミュラを一度に見ることができる稀有な展示となっている。フェラーリだけでなく、ブガッティやマセラティ、アルファロメオ……など、その時々に活躍したフォーミュラがずらりと整列している姿は圧巻である。

INFOMATION
Museo dell'Automobile di Torino
トリノ国立自動車博物館

開館時間:月/10:00~14:00
火/14:00~19:00
水・木・日/10:00~19:00
金・土/10:00~21:00
所在地:Corso Unita' d'Italia 40, 10126 Turin, Italy
TEL:+39 011 677666
URL:www.museoauto.it

文・尾崎春雪 編集・iconic

2/2ページ

最終更新:8/10(土) 8:11
GQ JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事